世界初、肝臓の細胞の若返りに成功!肝臓病の新たな治療法に期待

2018年3月13日 21:15

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 世界で初めて、ヒトの肝臓細胞の元となる肝前駆細胞の作成に国立がん研究センターの研究グループが成功させた。

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 研究グループは、ヒトの肝臓の細胞に2種類の特殊な化合物を加えることで、肝臓の細胞となる肝前駆細胞に変化させることができたという。

 よく知られているように、肝臓は再生する臓器である。病気や手術などで損傷したとしても、肝臓の一部が残っていれば元通りになる。

 これは代償性肥大(代償性再生)と呼ばれる現象で、実際には肝臓の細胞が新しく作られるのではなく、残っていた肝臓の細胞が肥大化、あるいは増殖することで元の形に戻っている。

 この再生の場合、一定の健全な肝臓の細胞の残存が条件であり、薬物や毒物などにより重度の障害、あるは慢性的な障害を受けた肝臓では、うまく再生できないケースが存在する。

 今回の研究は、肝臓の細胞から肝臓の細胞の元なる肝前駆細胞を作ることができるため、これを増殖、分化させることで新たな細胞を作り出し、再生させることができる。まさに肝臓を若返らせることができるのである。

 しかも研究グループの発表では、肝前駆細胞を培養して簡単に、大量に増やすことができるという。

 研究グループは2016年11月に肝臓の細胞が損傷したマウスに、培養した肝前駆細胞を注入するという実験を行い、2カ月ほどで損傷した肝臓の細胞のほとんどが、注入された肝前駆細胞から変化した肝臓の細胞に置き換わったことを報告している。肝臓の動きも正常に戻り、安全性の面でも問題は起きなかったことも付け加えている。

 重い肝臓病の治療は、臓器移植しかなく、提供者の不足によって、実際は進んでいないのが現状である。iPS細胞による肝臓の細胞の再生にも期待を寄せられているが、まだ実験の段階であり、成果が出ているとは言えない。

 国立がん研究センターの落谷孝広分野長は将来の新たな治療方法に期待を寄せている。また、研究グループは今回の研究成果が世界初ということで、今月開かれる、日本再生医療学会で発表する予定だ。(記事:和田光生・記事一覧を見る

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