欧米為替見通し:ドル・円は買いづらい展開か、米上院補選を注視

2017年12月12日 17:25

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記事提供元:フィスコ


*17:25JST 欧米為替見通し:ドル・円は買いづらい展開か、米上院補選を注視
今日の欧米外為市場では、ドル・円は買いづらい展開を予想したい。米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定を控え動きづらいなか、アラバマ州の上院補選が注目される。共和党候補が敗北の場合にはトランプ大統領の政策運営が懸念され、ドル買いは後退しそうだ。

FRBは今晩から連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、13日(日本時間14日)に今年3回目となる政策金利引き上げに踏み切る公算。利上げは織り込み済みで、来年以降の金融正常化方針に市場の関心が集まる。足元は積極的に動きづらい状況が続き、前週末からのドル・円は値幅を狭めている。こうしたなか、今晩はアラバマ州の上院補選が注目材料となりそうだ。

ただ、優勢とみられてきた共和党候補のセクハラ疑惑が急浮上し、民主党候補と大接戦となっているようだ。現在上院では与野党の勢力がほぼ拮抗しており、トランプ政策の柱となる税制改革法案は賛成51、反対49とギリギリでの可決となった。アラバマ補選で議席を獲得できなければ今後の政策運営の厳しい状況が懸念され、ドル売りにつながろう。

その税制改革法案についても、トランプ政権が目論み通りに年内成立にこぎ着ければ株高・ドル高などの反応が見込まれるものの、有権者を対象とした調査では評価が厳しいようだ。直近の支持率調査によると、税制改革で最も恩恵を受けるのは富裕層と大企業との見方が多く、目先の法案成立により政権支持率が好転するとは考えにくい。

トランプ大統領の外交政策に目を向けても、エルサレムのイスラエル帰属を認定するなど国際社会を驚がくさせ、中東和平は逆走し始めた。このため、来年に向け政権運営に不透明感が広がりやすく、ドル買いは後退しそうだ。米国株は好調が続く一方、米10年債利回りが2.40%を下回る低水準で推移していることも、買いづらい要因となるだろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:30 英・11月消費者物価指数(前年比予想:+3.0%、10月:+3.0%)
・18:30 英・11月生産者物価指数・産出(前年比予想:+3.0%、10月:+2.8%)
・19:00 独・12月ZEW景気期待指数(予想:18.0、11月:18.7)
・22:30 米・11月生産者物価指数(前月比予想:+0.3%、10月:+0.4%)
・03:00 米財務省30年債入札(120億ドル、リオープン)
・04:00 米・11月財政収支(予想:-1345億ドル、16年11月:-1366.69億ドル)
・07:15 ロウ豪準備銀行総裁講演
・米連邦公開市場委員会(FOMC、13日まで)
・米アラバマ州上院補欠選挙《CS》

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