村田製作所、IoTで伸びる「LPWA」通信モジュール展開へ

2017年6月25日 18:35

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記事提供元:エコノミックニュース

Wi-FiやBluetooth向けの通信モジュールで世界シェア50%を維持する村田製作所が、IoTに適した無線通信網「LPWA(Law Power Wide Area)」の通信モジュール事業に参入する。2020年には250~500億のデバイスがIoT通信網でつながるとされるが、17年は省電力広域通信網が普及に向かうLPWA元年となる見込み。

Wi-FiやBluetooth向けの通信モジュールで世界シェア50%を維持する村田製作所が、IoTに適した無線通信網「LPWA(Law Power Wide Area)」の通信モジュール事業に参入する。2020年には250~500億のデバイスがIoT通信網でつながるとされるが、17年は省電力広域通信網が普及に向かうLPWA元年となる見込み。[写真拡大]

 Wi-FiやBluetooth向けの通信モジュールで世界シェア50%を維持する村田製作所が、IoTに適した無線通信網「LPWA(Law Power Wide Area)」の通信モジュール事業に参入する。2020年には250~500億のデバイスがIoT通信網でつながるとされるが、17年は省電力広域通信網が普及に向かうLPWA元年となる見込み。同社はIoTの普及とともに需要の増加が見込まれるLPWA向け通信モジュールでのシェアを拡大すべく、日本国内と中国の工場で生産を始める。

 LPWAは送信データ量が小さく、低消費電力で長距離伝送が可能といった特徴がある。これまで高品質で高速なLTEネットワークや100メートル程度の短距離で性能の良いWi-FiやBluetooth、ZigBeeといった通信網は存在していたが、低価格、省電力で長距離通信が可能な通信網は存在していなかった。

 LTEをベースにした「NB-IoT(3GPP標準)」と920MHz帯を使用する「SIGFOX(シグフォックス)」や「LoRa/LoRAWAN(ローラ/ローラワン)」の2系統がある。世界的にはすでにNB-IoTを筆頭に、SIGFOXやLoRAWANといったLPWAサービスが普及しており、日本でもSIGFOXについてはKCCSが、今年の2月27日から都内23区を皮切りに順次サービスを開始。オープンな規格であるLoRAWANについては、ソラコムや関西電力、NTT西日本、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクなど多くの通信事業者がサービスに参入、あるいは参入の意向を示している。

 日本は第三位のIoT立国といわれ、20年には35億個のデバイスがIoT通信網でつながると予想されている。世界的にみれば、現在NB-IoTがシェア1位となっており、SIGFOXとLoRaがこれに続いている。村田製作所は、すでにSIGFOXおよびLoRa/LoRAWANサービスに対応したモジュールのサンプルを国内で出荷開始している。この2種類のサービスの特性を考慮した提案を強化してモジュールの販売を進める計画で、18年度には100万台の売り上げを目指す。

 LPWAは車やコンテナの位置情報管理や、商用電源を使えない地域でのガス・水道の検針といった産業用の用途で広く活用されるほか、スマートホームやスマートシティでも実装が見込まれている。同社が今後、競合となるSMKや米マイクロチップ・テクノロジーなどとどう渡り合っていき、シェアを広げていくかに注目したい。(編集担当:久保田雄城)

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