稀勢の里痛恨の2敗目!優勝争いから後退

2017年5月18日 08:59

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■稀勢の里2敗目
 大相撲5月場所4日目、序盤にして稀勢の里は早くも2敗目を喫した。対戦相手は遠藤。立ち合いは悪くなかったが、土俵中央での応酬に膝を折りそうになった遠藤だったがこらえた。一瞬気を抜いた稀勢の里を押したらあっけなく土俵際まで行ってしまった。

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 先場所、先々場所までならこらえることができた稀勢の里だが、今場所はこらえることができずさらに突かれ土俵を割った。しかもダメを押され土俵のかなた遠くまで吹っ飛んでしまった有様だ。横綱になってからはもちろん、ここまで圧倒的な敗北はここ数年の稀勢の里には見られなかった。優勝争いどころか千秋楽まで戦いきることができるか疑問視を投げかけられているところだ。

 こうなってくると「休場」という文字がちらついてくる。実際親方達や、相撲関係者の中では「休場をした方が……」という声を上げる人も少なくない。それでもそうできない理由が多々あるのも事実だ。

■稀勢の里が休場しづらい理由
 しかし、稀勢の里には休場しづらい理由が三つある。本人が休場したくないというのはもちろんのこと、相撲協会の中でも休場してほしくないと思っている人は多い。理由の一つ目は多すぎる懸賞である。稀勢の里にかかっている懸賞は多く、力士出身の者からしてみたら「休んでほしい」と思うが、そうでない人は「休まれると困る」という意見を挙げるだろう。懸賞の多さはまさに諸刃の剣となっている。

 二つ目は自身で休場したことが無いという点だ。正確に言うと稀勢の里は一回休場したことがある。それでも千秋楽の休場のため不戦敗となり「休」の字はついていない。これは力士にとって非常に名誉なことであり、稀勢の里にとってもそこはかなり意識しているのではないかと思う。

 三つ目は高安の援護射撃を考えているのではないかと思う。1月場所、3月場所と2連覇を果たした稀勢の里だが、その裏には高安の援護射撃(弟弟子の高安は稀勢の里と優勝を争った白鵬、照ノ富士を撃破した)があった。高安が優勝争いを演じる上で稀勢の里の援護射撃はかなり重要なものとなってくる。

■相撲ファンの葛藤
 相撲ファンは「休んでほしいけど土俵に立つ姿を見たい」、そういう葛藤に済悩まされているのではないかと思う。特に5月場所のチケットを買った人は横綱の姿を見たいはずだ。あまり多くは語らない稀勢の里だけに左肩の調子はどれほどのものか分からないためそれが一層ファンをやきもきさせる。

 横綱は土俵上でファンに夢を見せるべきである。それでも「選手生命を脅かすというのであれば休場してもやむなし」とストイックすぎる稀勢の里に伝えたい。

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