働かないアリはコロニーの長期存続に欠かせないことを明らかに―北大・長谷川英祐氏ら

2016年2月27日 12:08

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北海道大学の長谷川英祐准教授らによる研究グループは、働かないアリがコロニーの長期的存続に欠かせないことを明らかにした。

北海道大学の長谷川英祐准教授らによる研究グループは、働かないアリがコロニーの長期的存続に欠かせないことを明らかにした。[写真拡大]

 北海道大学の長谷川英祐准教授らによる研究グループは、働かないアリはコロニーの長期的存続に欠かせないことを明らかにした。

 アリなどの社会性昆虫のコロニーには、ほとんど働かないワーカーが常に2~3割存在するが、その理由は明らかになっていなかった。

 今回の研究では、普段働かないワーカーが、他の全てのワーカーが疲れて働けないときに代わりに働くというシステムと、全員が一斉に働くシステムを比較した。その結果、疲労が存在しないときには2つのシステムの存続時間に差はないが、疲労が存在すると働かないワーカーがいるシステムの方が長続きすることがわかった。

 そして、その理由として、普段働くワーカーが疲れて働けなくなるときに、疲れていない普段働かないワーカーが「誰かがこなしていないとコロニー全体が致命的なダメージを受ける仕事」を代わりにこなすことで、危機的な瞬間を逃れているからであることが示された。

 研究グループは、人間の組織でも、組織の短期的効率を求めすぎると大きなダメージを受けることがあることから、組織運営全般に関して長期的存続の観点を含めた上で考えていくことの重要性が示されたとしている。

 なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Lazy workers are necessary for long-term sustainability in insect societies」(働かないワーカーは社会性昆虫のコロニーの長期的存続に必須である)。

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