幾何学図形の「見え方」は、「ウマ」「イルカ」「チンパンジー」「ヒト」とも類似している―京大・友永雅己氏ら

2015年12月2日 15:52

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円の大きさの弁別課題を行っているウマの「ポニョ」と共同研究者のフローリン・カミュ氏。(京都大学の発表資料より)

円の大きさの弁別課題を行っているウマの「ポニョ」と共同研究者のフローリン・カミュ氏。(京都大学の発表資料より)[写真拡大]

 京都大学の友永雅己准教授・松沢哲郎教授らの国際研究グループは、ウマ、チンパンジー、ヒト、イルカは、曲線や直線といった共通の要素を含む図形を類似して知覚する傾向にあることを明らかにした。

 現在地球上には5400種もの哺乳類が生息していると言われており、地中、水中、陸上、樹上、そして空中にまで生息域を広げている。一方、視覚での知覚・認知がそれぞれの種でどのようになっているのかについてはまだよくわかっていないのが現状である。

 今回の研究では、岐阜県各務原市にある乗馬体験施設「ホースマンかかみが原」に暮らす3個体のウマを対象に、タッチパネルシステムを用いて視知覚を調べる実験を行った。そして、既に同グループが行っている、チンパンジー、ヒト、イルカの実験結果と照らしあわせたところ、幾何学図形の「見え方」は、これら4種の間で類似していることがわかった。

 研究メンバーは「このような基礎的な視知覚が同じであることを出発点として、ウマの視覚認知、環境認識についてさらに詳細な検討を加えることにより、ウマが認識している世界をより深く理解できると考えています。そしてこのことが、哺乳類の一員としてのヒトの心の進化を理解するためのユニークな視点をもたらしてくれるでしょう」とコメントしている。

 なお、この内容は「Biology Letters」に掲載された。論文タイトルは、「A horse's eye view: size and shape discrimination compared with other mammals」。

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