【コラム 野田聖二】業績相場は終わった?

2014年5月22日 22:19

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記事提供元:さくらフィナンシャルニュース

【5月22日、さくらフィナンシャルニュース=東京】

昨日の東京市場では、円が一時100円台に上昇し、しばらくこう着状態にあった円相場が円高方向に抜けたようにも見えます。昨日の黒田日銀総裁の発言で早期の金融緩和期待が後退したことがきっかけとみられていますが、5/2のブログにも書いたように、為替が円高方向に進んでいるのは米金利が低下してきたからであり、米金利が低下しているのは米景気のモメンタムが下向きだからだと考えています。

「荒れる5月相場」も下旬に入りました。日経平均はかろうじて14000円台を維持していますが、このまま持ちこたえるのか、それとももう一段下に行くのか。このところ為替が円高に振れてきたり、年初来安値をつける銘柄が目立つなど、雰囲気的には14000円を割れて下げ足を速めるような空気も漂っています。

思い起こせば、日経平均が1日で1000円以上下げる暴落に見舞われたのがちょうど1年前の5月23日でした。その直後に書いたブログ(5/25「金融相場から業績相場へ」)では、この時の「暴落」を「金融相場」から「業績相場」に移行する時に起こる調整と捉えました。そして、過去の過剰流動性相場における「金融相場」と「業績相場」がほぼ同じ期間であったことから、2012年11月から半年続いた金融相場が終わり、2013年後半は業績相場になると予想しました。過去の経験則からいうと今回の業績相場は半年しか続かず、2013年いっぱいで終わってしまうことになるので、「そんなに早く終わってしまうのか」と私自身が半信半疑でしたが、実際に今期の業績が減益となる企業が目立つなど、どうもその気配が濃厚です。

のグラフをみると、2005年〜07年の相場と動きが良く似ていることに気がつきます。業績相場はすでに終わってしまった可能性があります。【了】

のだせいじ/埼玉県狭山市在住の在野エコノミスト
1982年に東北大学卒業後、埼玉銀行(現埼玉りそな銀行)入行。94年にあさひ投資顧問に出向し、チーフエコノミストとしてマクロ経済調査・予測を担当。04年から日興コーディアル証券FAを経て独立し、講演や執筆活動を行っている。専門は景気循環論。景気循環学会会員。著書に『複雑系で解く景気循環』(東洋経済新報社)『景気ウォッチャー投資法入門』(日本実業出版社)がある。著者のブログ『私の相場観』より、本人の許可を得て転載。

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