住友林業、自社専用リサイクル施設「首都圏資源化センター」を本格稼動開始

2012年10月10日 12:50

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 住友林業は9日、廃棄物の高度な分別が実施可能な自社専用のリサイクル施設「首都圏資源化センター」を埼玉県加須市に設立し、本格稼動を開始したと発表した。首都圏エリアの戸建注文住宅の新築工事の施工に伴って生じる廃棄物を分別・集約し、リサイクル施設へ搬入することで、今年12月を目標に首都圏でのゼロエミッション達成を目指す。

 住友林業は、従来から戸建注文住宅の新築工事の施工に伴う産業廃棄物のゼロエミッションに取り組んでおり、2011年度のリサイクル実績は89.3%だった。しかし、更なるリサイクル率の向上のためには、地域によってリサイクル率に差があることや処理コストが増加することなどの課題があり、自社のリサイクル施設を設立し、より積極的に産業廃棄物の回収・再資源化に関わることとした。

 住友林業は、2010年12月8日付で産業廃棄物処理の広域認定を環境省から取得しており、資源化センターはこの認定制度を利用して設立されている。同制度では住友林業の指定する資材納入業者・輸送業者などを「産業廃棄物の収集又は運搬を業として行う者」に登録することが可能で、自社製造物の収集運搬に関して地方公共団体ごとの産業廃棄物処理業の許可が不要となる。

 これにより、新築施工現場まで住宅資材を運んだトラックの帰り便などを活用して廃棄物を収集し、広域認定で登録した回収拠点である中継センターに集約することが可能になる。集約された廃棄物は、直接ゼロエミッションが可能な処理業者へ委託、または高度な分別が可能な同施設へ運搬し、分別を実施後は外部のリサイクル施設に直接処理委託、または有価売却する予定。

 資源化センターでは、廃棄物にQRコードラベルを付すことですべての廃棄物のデータの収集、分析を行うことが可能となり、商品開発、資材、設計、生産、物流等の各部門へ改善のフィードバックを行うことで、首都圏エリアの廃棄物排出量の削減に繋げることができる。また、有価物の売却や効率的な廃棄物の回収により、収集運搬コストの削減が可能になる。

 住友林業では、今年5月から同社住宅事業本部の一部拠点で試験運用を開始しており、7月から本格稼動を始め、段階的に展開地域を広げて10月から関東1都6県全域(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県)で運用を行っている。まずは首都圏エリアでのゼロエミッション達成を目標にし、同施設での実績について検証を行い、効果を判断した上で、近畿圏などほかのエリアにおいても同様の施設の設置を検討していく。

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