Meta、Threadsに保護者管理機能を導入へ―EUが「中毒的デザイン」との見解

2026年7月23日 23:53

印刷

記事提供元:Tech Times

(Dave Adamson/Unsplash)

(Dave Adamson/Unsplash)[写真拡大]

Metaは、Threads向けに保護者管理機能(ペアレンタルコントロール)を導入すると発表した。2026年7月28日の週から米国で展開し、保護者が利用時間の上限や夜間の利用制限、10代のアカウントのプライバシー設定などを管理できるようにする。Metaは2026年末までの世界展開を計画しているが、欧州委員会は同様の既存機能について、中毒的デザインから生じるリスクへの対策として不十分だとの予備的見解を示している。

■Threadsに導入される保護者管理機能の全貌

Metaは火曜日、同社の主要ソーシャルプラットフォームのうち、保護者管理機能が導入されていなかった最後のサービスであるThreadsにも同機能を提供すると発表した。米国では2026年7月28日の週から、Metaの「Family Center」に登録している保護者が、10代の利用者が過去1週間にThreadsを利用した時間を日別に確認し、1週間の1日当たり平均利用時間も把握できるようになる。1日の利用時間上限はすべての端末に共通して適用されるため、スマートフォンからパソコンに切り替えても利用時間はリセットされない。

保護者は、特定の時間帯や曜日にThreadsへのアクセスを遮断できる。すべての10代向けアカウントには、米東部時間の午後10時から午前7時まで通知をミュートし、自動返信を有効にするスリープモードが標準で設定されており、保護者はこの時間帯を変更できる。

プライバシー面では、投稿で10代の利用者をタグ付けできる相手を保護者が決められるほか、一部のセンシティブコンテンツに関する設定も管理できる。16歳未満については、非公開アカウントやコンテンツ制限など、Threadsが自動的に適用する標準の保護設定を緩和してよいかどうかも保護者が判断する。

ただし、この仕組みには重要な構造的制約がある。保護者による管理を有効にするには、10代の利用者本人が招待を承諾しなければならない。MetaのFamily Centerの説明によると、利用者はその後もいつでも管理を無効にでき、その場合は保護者に通知が届く。この設計から、保護者管理機能はプラットフォームによる強制的な制限手段であると同時に、家庭内で利用方法を話し合うためのツールという性格も持つ。

■EU規制当局の見解と「中毒的デザイン」への批判

Threadsへの導入発表は、Metaをめぐる規制上の問題と切り離して考えることができない。欧州委員会は2026年7月10日、InstagramとFacebookが中毒的デザインをめぐってデジタルサービス法(DSA)に違反しているとの予備的見解を発表した。無限スクロール、動画の自動再生、プッシュ通知、高度にパーソナライズされたおすすめフィードなどが、利用者の心身の健康にリスクをもたらしているにもかかわらず、Metaはそのリスクを十分に評価していなかったと指摘している。

欧州委員会が2024年5月に正式に開始した調査では、InstagramとFacebookの保護者管理機能が「中毒的デザインから生じるリスクに効果的に対処できていない」とされた。Teen Accountsの時間管理機能についても、「容易に解除できる」と評価された。

これに対し、Metaの広報担当者ベン・ウォルターズ氏は、EUの結論について「10代の利用者を保護するために当社が講じてきた重要な措置を正確に考慮していない」と述べた。また、Teen Accountsにより、同社は「10代の利用者を自動的に保護し、保護者が管理できるようにした」と主張した。欧州委員会は、Teen Accountsには習慣的な利用を変えるために十分な制約が設けられていないとの見方を示している。

このやり取りがThreadsの発表にとって重要なのは、今回導入される保護者管理機能が、EUが評価して不十分だと判断した既存機能と構造的に同じだからだ。EUは管理機能そのものの設計が劣っていると指摘したのではなく、エンゲージメントを最大化する仕組みの上に管理機能を重ねても、基礎となる設計への十分な対策にはならないと判断した。保護者がThreadsの機能を適切に利用すれば、10代の利用時間を減らせる可能性はある。しかし、InstagramやFacebookと同様のアルゴリズムを利用したエンゲージメント重視の仕組み自体は変更されない。

予備的見解が最終的に確定した場合、欧州委員会はMetaに世界年間売上高の最大6%の制裁金を科すことができる。アナリストは、その額を約120億ドル(約1兆9560億円、1ドル=163円換算)と試算している。

■第三者機関が示す保護機能の実効性とリスク

プラットフォームが提供する保護者管理機能が、実社会で子どもの保護につながるかどうかを示す証拠は、良くても一貫していない。

ニューヨーク大学とノースイースタン大学の共同プロジェクトであるCybersafety Research Centerは2026年6月、Instagram、Snapchat、TikTok、YouTubeが掲げる86件の子ども向け安全機能を検証した。各プラットフォームの不具合率はいずれも50%以上で、少なくとも半数の機能が説明どおりに作動しない、10代の利用者に案内されていない、または容易に回避できる状態だった。Heat Initiativeと共同で公表された報告書は、ソーシャルメディアが子どもに及ぼす害について「仮定上のものではなく、実際に生じた場合には取り返しのつかない結果になり得る」としている。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)の研究センターDigital Futures for Childrenが2026年5月に公表した報告書は、2024年から2026年までに70のプラットフォームで実施された108件の子どもの安全・プライバシー対策を分析した。その結果、Meta、Google、TikTok、Snapchatの大手4社は、初期設定で利用者を保護する設計から、保護者管理のような利用者側のツールへと重点を移していた。報告書は、この変化を規制当局が支持しているのではなく、明確に批判している傾向だと位置付けた。

Meta自身の実績についても、評価は分かれている。元グローバル業務責任者のニック・クレッグ氏は2024年、「こうした管理機能を構築しても、保護者は利用していない」と認めた。一方、Metaは2026年5月、Instagramの保護者管理に登録した米国の10代利用者が前年から2倍以上に増えたと発表した。しかし、2026年2月に行われたMetaの連邦裁判で示された社内データでは、同社が安全機能を公に強調してきたにもかかわらず、10代の利用者による導入率は歴史的に低かったとされた。

カリフォルニア州議会が2026年3月に公表した背景資料は、未成年者向けオンライン安全管理機能について、「十分に利用されておらず、操作が難しく、効果がない場合が多いうえ、プラットフォームごとに分断されている」と構造的な問題を要約している。

LGBTQ+の10代の利用者がいる家庭には、Threadsの発表で扱われていない別のリスクもある。LGBT Techなどの支援団体は、管理設定の変更時に保護者へ通知する仕組みや、Metaの別の機能で自傷行為に関連する検索傾向を通知する仕組みによって、LGBTQ+の10代の利用者が支援的でない保護者に知られる可能性があると指摘している。

Metaの保護者管理機能には、保護者による可視性を高めることが有益な利用者と、それによって危険にさらされる利用者を区別する仕組みがない。カリフォルニア州のSB 976「Protecting Our Kids from Social Media Addiction Act(子どもをソーシャルメディア依存から守る法律)」も、まさにこの点を理由としてLGBTQ+の支援団体から明確な反対を受けた。

■激化する法的圧力と今後の利用方法

Metaは、Threadsへの保護者管理機能の導入だけでは解決できない、厳しさを増す法的環境にも直面している。

2026年3月、ニューメキシコ州の陪審は、Metaのプラットフォームにおける子どもの安全をめぐる違反について、同社が州の消費者保護法上の責任を負うと判断し、3億7500万ドル(約611億円、1ドル=163円換算)の損害賠償を命じた。Metaは控訴している。

同じ週、ロサンゼルスの陪審は、プラットフォームの中毒的デザインによってうつや不安を発症したと訴えた原告個人に対し、MetaとYouTubeが合計600万ドル(約9億7800万円)の損害について責任を負うと判断した。2026年5月には、同種の訴訟1,200件以上の先行事例となるケンタッキー州ブレシット郡の学区が、大手4プラットフォームから合計2,700万ドル(約44億100万円)を受け取ることで和解した。このうちMetaの負担額は最大の900万ドル(約14億6700万円)だった。

さらに、4州の司法長官は最大1兆4,000億ドル(約228兆2,000億円)の制裁金を求めている。オークランドの連邦裁判所では2026年8月に公判が予定されている。中毒的デザインをめぐるEUの予備的見解は、デジタルサービス法に基づきMetaに示された3件目の予備的見解であり、米国での訴訟とは別の手続きと日程で進められている。

Metaは、2021年以降に各プラットフォームへ30件を超える機能を導入したこと、保護者管理への登録が過去1年間で2倍以上に増えたこと、利用者が13歳から17歳だと識別された時点でTeen Accountsに一連の保護機能を自動適用していることを挙げ、10代の安全対策を拡充してきたとしている。Threadsへの導入も、これまで未対応だった最後の主要プラットフォームへ既存の仕組みを拡張するものと位置付けられる。

Metaによると、保護者管理はfamilycenter.meta.com/supervisionから設定できる。有効化には保護者のアカウントと10代の利用者本人の同意が必要だ。Instagram、Facebook、Messenger、Meta Horizonですでに保護者管理を利用している家庭は、新しいプロフィールを作成せずにThreadsを追加できる。Metaは2026年末までに世界へ展開する計画だが、国別のスケジュールは公表していない。

保護者は、この機能でできないことにも注意する必要がある。非公開メッセージの内容を閲覧することはできず、10代の利用者が参加を拒否した場合には管理を強制できない。また、規制当局が問題の根本的な原因として挙げたおすすめアルゴリズムも変更されない。保護者管理を有効にすることは、利用状況を把握しやすくするための意味ある一歩になり得るが、欧州委員会がMetaに求めているプラットフォームレベルの設計変更に代わるものではない。

■注目ポイントQ&A

●Threadsの保護者管理機能はどのように設定しますか?

familycenter.meta.com/supervisionにアクセスし、画面の案内に従って10代の利用者を保護者管理へ招待します。利用者が招待を承諾するまで、管理機能は有効になりません。Instagram、Facebook、Messenger、Meta Horizonですでに保護者管理を利用している場合は、同じFamily CenterのダッシュボードからThreadsを追加できます。

●10代の利用者がThreadsの保護者管理を回避することは可能ですか?

はい。10代の利用者はいつでも保護者管理を無効にできます。ただし、無効にすると保護者へ直ちに通知が届きます。ニューヨーク大学とノースイースタン大学の研究者による2026年6月の調査では、主要ソーシャルプラットフォームが掲げる子ども向け安全機能の少なくとも半数が、説明どおりに作動しないか、回避できる状態でした。欧州委員会も、Metaの10代向け時間管理機能は「容易に解除できる」と指摘しています。

●EU規制当局はMetaの保護者管理機能についてどのように評価していますか?

欧州委員会は2026年7月、InstagramとFacebookの保護者管理機能が「中毒的デザインから生じるリスクに効果的に対処できていない」とする予備的見解を発表しました。保護者が大規模に有効活用するには高度な技術的知識が必要であり、Teen Accountsの保護機能も、習慣的な利用を変えるために十分な制約を伴わずに解除できると判断しています。これは予備的見解であり、最終決定の前にMetaには反論する権利があります。

●Threadsの保護者管理機能は世界で利用できますか?

現時点では世界展開されていません。米国では2026年7月28日の週から提供が始まります。Metaは2026年末までに世界へ拡大する計画を示していますが、国別の具体的な提供開始スケジュールは公表していません。

元記事: Threads Gets Parental Controls as EU Finds Meta Teen Safety Measures Fall Short

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

関連キーワード

関連記事