サムスン、次世代HBMの冷却における「ハイブリッドボンディング」の優位性を実証する測定結果を発表

2026年6月26日 17:47

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記事提供元:Tech Times

サムスン電子は、次世代メモリ向けパッケージング技術において、ハイブリッド銅ボンディング(HCB)が従来の熱圧着ボンディング(TCB)よりも放熱性に優れていることを示す初の定量的データを発表した。メモリの積層化が進むなかで熱対策が最大の課題となっており、同社はシミュレーションにとどまらず、実機に近い環境での測定によってその効果を証明したとしている。

■サムスンが測定した放熱効果の実態

業界関係者の報告によると、サムスンの研究チームは、マルチスケールモデリングと実際のテストチップを用いた実験により、実際のサーバー環境に近い条件下でTCBに対するHCBの熱的優位性を体系的に実証した。この研究成果「System-Level Thermal Characterization of Hybrid Cu Bonding HBM with 2.5D Advanced Packaging」は、今月IEEE(米国電気電子学会)に掲載された。

研究チームは、チップレベルの微細構造からパッケージ、サーバーシステムレベルに及ぶ物理ベースのモデルを構築。HCBおよびTCBベースのHBMテストチップをASICとともにシリコンインターポーザー上に実装し、空冷条件下で測定を行ってモデルを検証した。

測定の結果、HCBはTCBと比較してホットスポットのジャンクション温度を低下させ、メモリスタックとその下部にある演算チップ間の熱干渉を減少させることが示された。また、同じ冷却条件下において、より高い電力バジェット(許容電力)を確保できるため、性能向上のための余力が生まれる。さらに、HCBはスタックの高さを15%以上削減し、パッケージを薄型化することで熱の蓄積を和らげる効果もあるという。

■なぜ熱が障壁となり、ボンディングが解決策となるのか

HBMは、DRAMダイを垂直に積層(8層、12層、現在は16層)してAIプロセッサーの直近に配置し、数千本の微細な垂直配線で接続することで、省スペースで巨大な帯域幅を実現する。しかし、層が追加されるたびにスタックの内部に熱が閉じ込められ、その多くは演算を行うチップを通過して下方に逃げなければならない。積層が高くなるにつれてパッケージ自体が過熱し、性能が低下(サーマルスロットリング)する原因となる。そのため、ダイ同士を接合するボンディング方法が放熱性を左右する極めて重要な要素となる。

従来のTCB方式では、微細なハンダバンプでダイを接続し、その隙間に非導電性のアンダーフィル材を充填する。このアンダーフィルが熱の経路を塞ぎ、断熱材のように機能して熱抵抗を高めてしまう。

一方、HCBはバンプを完全に排除し、隣接するダイの銅パッド同士を直接接合(銅-銅接合)する。隙間やアンダーフィルが存在しないため、直接的な金属接触によって熱伝導の経路が大幅に増加する。また、バンプがないことでスタック全体の高さが15%以上短縮され、パッケージ自体が薄くなるため、初期段階での熱の蓄積も抑えられる。サムスンの論文は、このメカニズムを理想的なシミュレーションだけでなく、現実的な高積層セットアップにおいて定量化したものである。

■ロードマップにおける重要性と今後の課題

今回の知見は、サムスンが16層の「HBM4E」からHCBの採用を開始し、当初はTCBと併用しながら、続く「HBM5」で完全移行を目指す計画において重要な意味を持つ。この選択は、競合であるSK hynixなどが採用するTCBやMR-MUF(Mass Reflow-Molded Underfill)方式とは一線を画すアプローチであり、サムスンはこれまで主に理論上主張してきたロードマップを、システムレベルの公開データで裏付けた形となる。

ただし、サムスン自身も認めているように、コストと複雑さが課題となる。ハイブリッドボンディングは、すべてのダイにおいて極めて高い表面清浄度とアライメント(位置合わせ)精度を要求し、より高価な装置やクリーンルームのスペースが必要となる。また、積層が高くなるほど歩留まりリスクも上昇する。

これらの障壁があるからこそ、業界は長年にわたりHCBを研究しながらも、HBMの量産ラインへの導入を見送ってきた。サムスンが即座に切り替えるのではなく、段階的に導入を進めているのもそのためである。研究チームは「本研究の予測設計フレームワークは、次世代HPC(高性能計算)パッケージングにおけるボンディング評価と熱最適化に活用される」と述べている。

■注目ポイントQ&A

●ハイブリッド銅ボンディング(HCB)とは何ですか?

ハイブリッド銅ボンディング(HCB)は、ダイレクトボンディングやバンプラスボンディングとも呼ばれる先進的なパッケージング技術です。ハンダバンプやアンダーフィル材を使用せず、隣接するダイの銅パッド同士を直接接合してチップを積層します。従来のTCB方式と比較して、配線間隔の微細化、スタック全体の薄型化、そして優れた放熱性を実現できるため、16層以上の次世代HBM積層において不可欠な技術とされています。

●なぜHBMには熱問題が発生するのですか?

HBMは、限られたスペースで速度を最大化するために、多数のDRAMダイを垂直に積層してプロセッサーのすぐ隣に配置します。しかし、積層数が増えるほどスタック内部に熱が蓄積しやすくなり、その熱の多くは下部にある演算チップを通って逃げる必要があります。積層が8層から12層、16層へと増えるにつれて、この熱が性能低下や信頼性の低下を招くため、熱管理は次世代HBMにおける最大の技術課題の一つとなっています。

●ハイブリッドボンディングとTCBの違いは何ですか?

主な違いはチップ同士の接合方法にあります。従来のTCB(熱圧着ボンディング)は、小さなハンダバンプでダイを接続し、隙間を非導電性のアンダーフィル材で埋めますが、これが熱の流れを妨げ、高さを増す原因になります。一方、HCB(ハイブリッド銅ボンディング)はバンプとアンダーフィルを排除し、銅の表面同士を直接接合します。これにより熱抵抗と電気抵抗が下がり、放熱経路が増えるほか、サムスンによればスタック全体の高さを15%以上削減できるとされています。ただし、HCBは製造コストが高く、技術的な難易度も高いというトレードオフがあります。

●サムスンはいつHBMにハイブリッドボンディングを導入する予定ですか?

サムスンは、16層の「HBM4E」からハイブリッド銅ボンディングの採用を開始し、当初は従来のTCBと併用し、次世代の「HBM5」で完全なハイブリッドボンディングへ移行する計画を明らかにしています。具体的な時期は歩留まり、コスト、顧客による評価(クオリフィケーション)に左右されますが、一部のアナリストはサムスン初のハイブリッドボンディング採用HBMの登場を2020年代末頃と予測しています。このアプローチは、MR-MUF技術を頼りとし、ハイブリッドボンディングをより後期の選択肢として位置づけているSK hynixなどの競合他社とは異なります。

元記事: Samsung Quantifies Hybrid-Bonding’s Edge in Cooling Next-Gen HBM

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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