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ワコム Research Memo(3):環境変化を捉えた商品ポートフォリオの刷新や独自技術の事実上の標準化を推進
*15:33JST ワコム Research Memo(3):環境変化を捉えた商品ポートフォリオの刷新や独自技術の事実上の標準化を推進
■ワコム<6727>の各事業及び主要製品の特徴
1. テクノロジーソリューション事業
デジタルペン技術※に基づき、「AESテクノロジーソリューション」と「EMRテクノロジーソリューション」の2つに分類され、ペン・センサーシステムをスマートフォンやタブレット・ノートPCメーカーに供給している。「AESテクノロジーソリューション」においては、AES方式を採用するレノボ<HKG:0992>や富士通クライアントコンピューティング(株)といった主要PCメーカーとの取引関係を築いている。「EMRテクノロジーソリューション」においては、EMR方式を採用している主要顧客のサムスン電子<KRX:005930>(Galaxyシリーズ)向けの取引を中心に構成されている。同社は独自のデジタルペン技術の事実上の標準化(デファクトスタンダード)を推進することにより、ユーザーの裾野を拡げながら規模拡大を優位に進める戦略を採っており、これまでも、フォルダブル(折り畳み型)や電子ペーパー技術を採用したデバイスにも迅速に対応してきた。中期経営計画「Wacom Chapter 4」では、EMR方式、AES方式に加えて、ユースケースの拡大やデバイスのトレンド変化にも対応するため新方式ペン技術(USM(Universal Sensor Module))の基礎開発を完了し、現在商用化を目指している。
※ 独自の静電結合方式であるアクティブES(バッテリー必要)や、電磁誘導方式(EMR)(バッテリー不要)。
2. ブランド製品事業
ターゲット顧客や製品タイプ別に幅広いラインナップを有している。製品区分としては、(1)ディスプレイ、(2)ペンタブレット、(3)ポータブルクリエイティブ、(4)その他、の4つに分かれる※。
※ 2026年3月期より新カテゴリーの「ポータブルクリエイティブ」が新たに追加され、従来の「ビジネスソリューション」は「その他」へ合算された。
(1) ディスプレイ
タブレットが液晶パネル※になったもので、デジタルペンで液晶画面に描画可能な点に特徴がある。一方、OSや記憶装置を持たない入力デバイスという点では後述する「ペンタブレット製品」と同様の特性を持つPC周辺機器と言える。インチサイズや性能差により価格帯が10万円~50万円前後と幅広く、特に同社の製品はプロやハイエンドアマチュアからの高い支持を保持している。一方で、ここ数年は消費者センチメントの悪化や他カテゴリーへの需要シフトが進むなか、他社(中国メーカー等)からの価格攻勢により、エントリーモデルで苦戦を強いられてきた。これに対し同社は、ミドルレンジの「Wacom Cintiq」最新モデルを2025年5月に投入したほか、クリエイティブ専門領域での訴求に取り組んでいる。
※ 「液タブ」と称されることもある。
(2) ペンタブレット
デジタルペンとタブレット(黒い板状のもの)で構成される最も基本的なデバイス※であり、事業化以降、長年にわたり主力製品の地位を占めてきた。マウスやキーボードと同じようにPCに接続して使用するPC周辺機器である。
※ 「板タブ」と称されることもある。
シンプルな製品構成であるため、プロからエントリーユーザー向けに幅広い商品ポートフォリオを持つ。ハイエンド市場では、「ディスプレイ製品」との併用がユースケースとして見られることから、ハイエンドモデルの競争力は維持されており、2025年3月にリリースした「Wacom Intuos Pro」の最新モデルもプロやハイエンドアマチュアからの支持を集め、売上も堅調に推移している。一方で、差別化を図りにくいエントリーモデルでは他社(中国メーカー等)との競合が生じている。こうしたなか同社は、顧客ニーズへの対応は継続しつつも、商品ポートフォリオを見直し、「ディスプレイ製品」や「ポータブルクリエイティブ製品」への戦略的な経営資源のシフトを進めている。
(3)ポータブルクリエイティブ
新たに3本目の柱として追加区分したカテゴリーである。単体での起動・操作が可能な点(OS搭載モデル)や、場所を選ばず使用できる点などの特徴を持ち、新たな「描く」体験の実現を追求する。2024年5月にリリースした「Wacom Movink 13」を皮切りに、2025年7月「Wacom MovinkPad 11」、2025年10月「Wacom MovinkPad Pro 14」をリリースするなどラインナップを拡張した。Android OSを搭載した「Wacom MovinkPad」シリーズはPCとの接続や煩雑な初期設定が不要で、またペンを画面に長押しするだけでスリープ状態から復帰する機能を搭載するなど、直感的な操作性を追求した製品として市場からの注目を集めている。「Wacom MovinkPad 11」はエントリーゾーンをターゲットに順調に販売台数を伸ばす一方、「Wacom MovinkPad Pro 14」はディスプレイやCPUなどにより高性能を求めるユーザー向けとして位置付けており、プロによる2台目のデバイスとしての併用など、ハイエンドなユースケースを想定したものとしている。
(4)その他
旧ビジネスソリューションの構成要素に加え、これまで各製品ライン別に一定割合で配賦したオプション品も含む。主要製品は、液晶ディスプレイに直接文字入力(署名)や描写ができるビジネス用途向け製品などがある。事例として、デジタルサイン分野(ホテルのチェックインやクレジットカード決済、銀行の口座開設等)、医療分野(電子カルテやインフォームドコンセント等)、公共分野(マイナンバーカードの窓口申請手続き等の行政サービスや各種コールセンター、電子投票の支援等)にわたる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)《HN》
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