ドル円に長期もみ合い観測【フィスコ・コラム】

2026年5月31日 09:00

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記事提供元:フィスコ

*09:00JST ドル円に長期もみ合い観測【フィスコ・コラム】
中東の和平協議進展によりドル買いが後退しても、ドル・円は160円手前の水準で長期間もみ合うとの見方が広がり始めました。米インフレ圧力をにらんだドル買いは継続。ただ、日本の為替介入への警戒感で、「防衛ライン」を意識した値動きが予想されるためです。


ドル・円相場は4月末の日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)を経て一時160円台に浮上後、日本の為替介入のような急激な下落で、155円付近に落ち込みました。ゴールデンウィーク期間中も157円から比較的大きく下げ、その後は徐々に戻す展開。特に、5月後半は上値が重くなり伸び悩みながらも、緩やかに値を切り上げています。


大型連休明けに日銀が発表した当座預金の増減予測から、4月末からのドル急落は計10兆円規模の為替介入だった可能性が指摘されています。そのため160円が日本の防衛ラインとの共通認識により、足元は同水準が視野に入ると膠着状態に。ある短期筋は「やはり介入を意識してしまい、ドル買い・円売りを進めるのは難しい」と指摘。5月後半の動きが止まった相場を裏付けているようです。


足元では米国とイランの和平に向けた動きが注目され、中東紛争の早期終結への期待感が高まっています。ただ、トランプ米大統領の不安定な政策運営で中東情勢の一段の不透明感に対する懸念は払拭されていません。そのため、原油相場は高止まり。指標となるNY原油先物(WTI)は1バレル=100ドルの大台は割り込むようになっても、引き続き90ドル付近と高水準を維持しています。


加えて、足元の米消費者物価指数(CPI)や生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回る内容となり、インフレ圧力の根強さを意識させました。市場では早期利下げ観測が後退し、長期金利が上昇。日米金利差の拡大を背景に、ドルを保有する魅力はなお高いようです。中東情勢が落ち着けば有事のドル買いは後退しても、今度は金利要因がドルを支える構図に移りつつあります。ドル・円が高止まりしやすいとみられる所以です。


一方、日本では高市政権の経済政策をにらみ財政収支の悪化が見込まれ、円安に振れやすい地合いに変わりはありません。日銀は6月に利上げが見込まれるものの、すでに織り込まれ、円買いにはなりにくい状況です。追加利上げ後も日米金利差は大きく開いたままで、円相場を押し上げる力は限定的とみられます。結果として、「防衛ライン」の160円を意識した値動きが想定されます。


米金利と介入警戒の綱引きが当面の相場テーマとなり、160円台回復を試す場面と急反落を繰り返しながら、方向感の出にくい展開が続きそうです。
(吉池 威)
※あくまでも筆者の個人的な見解であり、弊社の見解を代表するものではありません。《CN》

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