科研製薬は27年3月期大幅増益予想、J&J社からのマイルストン収入寄与で営業・経常黒字転換へ

2026年5月27日 09:48

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 科研製薬<4521>(東証プライム)の26年3月期連結業績は減収、営業・経常赤字、最終減益だった。前期計上した契約一時金の反動、爪白癬治療剤クレナフィンのオーソライズド・ジェネリック(以下、AG)への置き換えに伴う減収、研究開発費の増加のほか、米国Johnson & Johnson(以下、J&J社)とのライセンス契約に基づくマイルストン収入計上が27年3月期にズレ込んだことも影響した。27年3月期はJ&J社からのマイルストン収入も寄与して大幅増収増益(営業・経常黒字転換)予想としている。

■医療用医薬品・医療機器メーカー

 医薬品・医療機器、農業薬品などの薬業、および文京グリーンコート関連などの不動産事業を展開している。

 主要な医薬品・医療機器は、爪白癬治療剤のクレナフィン群、関節機能改善剤のアルツ、癒着防止吸収性バリアのセプラフィルム、褥瘡・皮膚潰瘍治療剤のフィブラスト、原発性腋窩多汗症治療剤のエクロック、歯周組織再生剤のリグロス、腰椎椎間板ヘルニア治療剤のヘルニコア、およびジェネリック医薬品である。

 M&A関連では21年12月に国内バイオベンチャー企業のアーサム・セラピューティクス社を子会社化、25年3月に米国Aadi社を子会社化した。Aadi社は希少疾病「局所進行した切除不能/転移性の悪性血管周囲類上皮細胞腫瘍」治療薬のFYARROを販売している。

■開発パイプライン

 26年5月13日時点の開発パイプラインの状況として、自社創薬・導入品ではアタマジラミ症を適応症とするKAR(アーバー・ファーマシューティカルズ社、現アズリティ社から導入、海外製品名Sklice)は、国内第3相試験において主要評価項目を達成して27年3月期上期申請予定である。

 難治性脈管奇形を適応症とするKP-001(自社開発)は、国内第3相検証的試験において主要評価項目を達成(長期投与試験継続中)し、26年5月に製造販売承認申請を行った。米国では第3相段階(治験実施国は米国、カナダ、台湾、韓国)である。

 原発性胆汁性胆管炎を適応症とするKC―8025(シーマベイ・セラピューティクス社、現ギリアド・サイエンシズ社から導入、一般名セラデルパル)は国内第3相段階である。

 尋常性乾癬を適応症とするESK-001(アルミス社から導入、25年3月に日本におけるライセンス契約締結)は、アルミス社が実施している日本を含む国際共同第3相試験において主要評価項目を達成した。また汎発型膿疱性乾癬/乾癬性紅皮症を適応症として第3相段階である。

 遺伝性血管性浮腫(HAE)の長期予防薬ナベニバルト(米アストリア社、現バイオクリスト社から導入、25年8月に日本におけるライセンス契約締結)は、アストリア社が日本を含む国際共同第3相試験を実施中である。固形がん(がん免疫療法)を適応症とするKP-483(自社創薬)は第1相段階、末梢性神経障害性疼痛を適応症とするKP-910(自社創薬)は第1相段階である。なお先天性副腎過形成症を適応症とするチルダセルフォント(スプルース・バイオサイエンシズ社から導入)は開発を中止した。

 次世代の経口2型炎症性疾患(アトピー性皮膚炎、喘息など)治療薬として前臨床段階にあるSTAT6阻害剤(開発記号:KP―723)を含むSTAT6プログラムについては、24年12月にグローバルにおける開発・製造および商業化に関する独占的ライセンスをJ&J社に許諾するライセンス契約を締結した。日本国内では科研製薬が本プログラムで開発される製品の商業化に関する権利を保持し、第1相試験完了まで進める。

 海外導出では、爪白癬治療剤クレナフィン(海外製品名Jublia)について欧州の導出先であるアルミラル社(スペイン)が25年3月にイタリアで製造販売承認取得、25年8月にドイツで製造販売承認取得(26年5月販売開始)したほか、AIM社が中国で第3相段階である。原発性腋窩多汗症治療剤のエクロックについては韓国ドンファ社が25年8月に韓国で販売承認を取得し、26年1月に販売を開始した。

 その他の開発状況として、遺伝性血管性浮腫(HAE)を適応症とするセベトラルスタット(一般名)については、25年4月にカルビスタ・ファーマシューティカルズ社と日本におけるライセンス契約を締結し、25年12月にライセンス元のカルビスタ・ファーマシューティカルズ社が、日本において遺伝性血管性浮腫の急性発作を効能・効果として製造販売承認(外国特例承認)を取得した。そして26年3月に当社が販売を開始した。

 軟骨欠損を伴う変形性膝関節症を適応症とする同種(他家)滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織gMSC1(再生医療等製品、広島大学発のバイオベンチャー企業であるツーセル社から導入、25年6月に日本国内の整形外科領域における共同開発・独占的販売に関するライセンス契約締結)は第3相準備中である。ツーセル社が製造販売承認取得に向けた開発を実施する。

 アトピー性皮膚炎を適応症とするNM26については、24年5月にJ&J社の関連会社であるスイスのシーラグ社と知的財産譲渡および販売提携オプション契約を締結し、J&J社が日本で承認取得するすべての適応症について販売提携契約を交渉するオプション権を有している。J&J社が臨床試験を実施しており第2相段階であったが、25年12月に第2相段階の中止を発表している。

 三洋化成工業<4471>が開発した新規の創傷治癒療材料シルクエラスチン創傷用シート(医療機器)(24年10月に日本での販売に関するライセンス契約を締結)については、25年4月に三洋化成工業が薬事承認を取得した。

 また24年11月にスイスのニューマブ社と、炎症性腸疾患(IBD)を対象疾患とする新規多重特異性抗体医薬ND081に関する共同研究契約を締結した。そして25年11月にスイスのニューマブ社とIBDを対象疾患とする新規多重特異性抗体医薬NM81(旧開発コードND081)に関するライセンスおよび共同開発契約を締結した。これにより、24年11月に締結した共同研究契約に付随するオプション権に基づくアジアの特定の地域におけるNM81の販売権を取得した。科研製薬は臨床PoC取得までの開発費の大部分を負担し、ニューマブ社は非臨床および臨床開発の主要な実施主体となる。

■27年3月期大幅増益(営業・経常黒字転換)予想

 26年3月期の連結業績は、売上高が前期比18.3%減の768億71百万円、営業利益が8億99百万円の損失(前期は210億34百万円)、経常利益が2億06百万円の損失(同212億79百万円)、親会社株主帰属当期純利益が84.6%減の21億44百万円だった。配当は前期と同額の190円(第2四半期末95円、期末95円)とした。

 減収、営業・経常赤字、最終減益だった。前期計上した契約一時金の反動、爪白癬治療剤クレナフィンのAGへの置き換えに伴う減収、研究開発費の増加のほか、J&J社とのライセンス契約に基づくマイルストン収入計上が27年3月期にズレ込んだことも影響した。研究開発費は9.9%増の205億85百万円だった。なお特別利益に固定資産売却益13億66百万円、投資有価証券売却益20億16百万円を計上した。

 薬業(医薬品・医療機器、農業薬品)は売上高が18.8%減の743億28百万円で営業利益が22億77百万円の損失(前期は196億59百万円)だった。売上高の内訳は医薬品・医療機器(国内・海外)が20.9%減の678億44百万円、農業薬品が9.7%増の62億74百万円、その他が106.8%増の2億09百万円だった。また海外売上高(医薬品、農業薬品)は51.7%減の128億40百万円だった。不動産事業(文京グリーンコート関連賃貸料など)は売上高が2.5%増の25億43百万円で営業利益が0.1%増の13億77百万円だった。

 国内主要医薬品・医療機器売上高(単体ベース)はクレナフィン群が21.5%減の132億45百万円、アルツが3.0%減の184億69百万円、セプラフィルムが0.7%増の70億02百万円、エクロックが13.8%増の23億18百万円、フィブラストが6.0%減の22億87百万円、リグロスが6.2%減の8億65百万円、ヘルニコアが28.8%減の2億88百万円、ジェネリック医薬品計(AGを除く)が13.0%減の73億96百万円だった。

 27年3月期の連結業績予想は売上高が前期比17.0%増の899億円、営業利益が79億円(前期は8億99百万円の損失)、経常利益が86億円(同2億06百万円の損失)、親会社株主帰属当期純利益が203.1%増の65億円としている。配当予想は前期と同額の190円(第2四半期末95円、期末95円)としている。

 J&J社からのマイルストン収入も寄与して大幅増収増益(営業・経常黒字転換)予想としている。研究開発費は前期比16.1%増の239億円、国内主要医薬品・医療機器売上高(単体ベース)はクレナフィン群が40.4%減の79億円、アルツが4.2%減の177億円、セプラフィルムが0.0%減の70億円、エクロックが12.2%増の26億円、フィブラストが8.2%減の21億円、リグロスが4.0%増の9億円、ヘルニコアが38.9%増の4億円、ジェネリック医薬品計(AGを除く)が4.0%減の71億円の計画としている。

■長期経営計画2031

 2023年3月期から10か年の長期経営計画2031については、経営環境の変化や計画の進捗を踏まえ、25年4月に一部見直しを公表した。見直しの考え方として、企業価値向上には画期的・革新的新薬の継続的な上市が不可欠のため戦略投資を増額するほか、業績やキャッシュ・フローの不確実性およびボラティリティの高まりを見据えつつ財務規律を維持する。また重要なステークホルダーである株主・投資家への株主還元を強化する。

 業績目標としては32年3月期の売上高1000億円、営業利益285億円、ROE10%以上、海外売上高比率30%以上を掲げている。研究開発では10年間で8品目上市(P1以降PJ常時6品目以上をP1以降PJ常時8品目以上に変更)するためのパイプラインを確保する。戦略投資計画については10年間で2000億円以上を2600億円以上に変更した。株主還元方針では25年3月期の配当190円を下限としつつ、従来の配当性向30%以上・総還元性向50%以上を維持する。また今後7年間で株主還元総額500億円以上を見込んでいる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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