和田興産 Research Memo(8):中長期の成長を実現するため「経営基盤の強靭化」に取り組む(1)

2026年5月26日 13:08

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記事提供元:フィスコ

*13:08JST 和田興産 Research Memo(8):中長期の成長を実現するため「経営基盤の強靭化」に取り組む(1)
■和田興産<8931>の成長戦略

1. 新中期経営計画
(1) 新中期経営計画の基本方針と重点戦略
2026年4月に発表した新中期経営計画(2027年2月期~2029年2月期)では、業績の伸びが一服するなかで、中長期的な成長を実現していくための「経営基盤の強靭化」を基本方針に掲げた。重点戦略として、a) 多様な人材が活躍・挑戦できる環境を整備することで、企業理念としている「共生」の再浸透を図ること、b) 収益構造の転換を進め、事業セグメントの最適化を図ること、c) 新たなこと(地域、事業、分野等)への挑戦を継続することの3点に注力する。

a) に関しては、個々の社員のスキルアップを図るための研修制度の充実を図るほか、ワークライフバランスの充実に向けた福利厚生制度の拡充や人事制度改革を行うことで、エンゲージメントの向上を図り、収益成長を支える優秀な社員の育成・増員に取り組む。
b) については前中期経営計画のなかでも、主力事業である分譲マンション販売が好調に推移したこともあって、結果的に収益構造の転換や事業セグメントの最適化が進まなかったことを受け、今回もその取り組みを継続することとなった。
c) についても前中期経営計画では、地域の拡大として分譲マンション販売で、大阪府や兵庫県(加古川市、明石市、堺市)へのエリア拡大が進んだほか、新規事業として有料老人ホームの開発や系統用蓄電所などのソリューション事業を開始し、一定の成果を得たが、まだ初動段階であり引き続き重点戦略として注力する。このため、2026年4月よりソリューション事業室の人員体制を従来の3名から6名に増員した。

(2) 事業戦略
a) 分譲マンション販売
分譲マンション販売では、地域拡大に向けた仕入力の強化と持続可能な供給体制の確立に取り組むほか、顧客ニーズを的確に汲み上げることで魅力的なマンションの開発を進め、また、売れる仕組みを構築し、販売効率を高めていく。事業環境としては、建築コストの緩やかな上昇が続くことを前提に、採算性を重視した開発用地の仕入れ活動を推進する。

b) 戸建て住宅販売
戸建て住宅販売では、開発用地の仕入れ強化、自社設計・自社施工のスキーム確立、アフターサービスの拡充を推進する。自社設計・自社施工については現在外注に依存しているが、M&Aの活用も含めて内製化することも選択肢の1つとして考えている。アフターサービスの拡充ではリフォーム事業の育成に注力する。同社が手掛け、リフォーム時期を迎える戸建て住宅が今後増加するフェーズに入ることから、これら需要を取り込む。なお、リフォーム事業については2026年2月期より分譲マンションでも小規模ながら開始しており、受注拡大を目指す。

c) その他不動産販売
その他不動産販売では、事業スキームの多様化(新たなスキームの確立)や仕入窓口の拡張(JV方式でのプロジェクト開発等)、多様な出口戦略の試行に加えて、有料老人ホームの一棟卸など大型プロジェクトの収益性を検証し、今後の事業拡大を推進する。

d) 不動産賃貸収入
不動産賃貸収入では、非住居系のアセットクラスの収益比率を高めながら収益の拡大を図る。

(3) 組織戦略
多様な人材が活躍できる職場環境の整備や、ガバナンス・リスクマネジメントの強化、顧客満足度の向上につながる組織体制を構築していく。

(4) 業績目標
新中期経営計画の業績目標は、2027年2月期から2029年2月期までの3期間合計で売上高1,500億円(前3期間比23.9%増)、営業利益143億円(同3.4%減)、経常利益100億円(同18.7%減)、当期純利益70億円(同16.5%減)を計画し、またKPIとしてROE8%以上、D/Eレシオ2倍以内を目標に設定した。業績目標を3期間合計で設定しているのは、主力の分譲マンション事業が2~3年単位のプロジェクトが多く、その進捗状況によって業績が大きく変動するため、単年度の業績を目標に設定することの実効性が限定的であることによる。

事業セグメント別の売上目標については非開示だが、収益構造の転換や事業セグメントの最適化に取り組むことから、戸建て住宅販売やその他不動産販売、新規事業の構成比が上昇するものと予想される。一方、利益で減益を見込んでいるのは、金利の動向や人手不足による建築コストの上昇及び供給懸念、中東情勢の行方など先行き不透明感が強まっていることから、保守的に策定したものと見られる。営業利益率は前中期経営計画期間の12.2%に対して、新中期経営計画の期間は9.5%と2.7ポイント低下となるが、主因は分譲マンション販売の売上総利益率を前中期経営計画期間の21.8%に対して、目安としている17~18%水準に設定しているためと考えられる。分譲マンションの市場環境が直近3期間は好況が続いた反動と見ることもできる。

現状は分譲マンションの市況に変化は見られないが、人口減少が続くなかでいずれは需要もピークアウトすることが予想されるだけに、分譲マンション以外の事業を育成・強化していくことが中長期的な成長の実現には必要となる。今後3期間はそうした体制を構築していく期間と言える。2027年2月期は減益となるが、2029年2月期には2025年2月期から着手していた新規事業が本格化するなど収益構造の転換により2026年2月期並みの利益水準まで回復する見通しである。

なお、利益の配分方針として全体の50~60%は事業への再投資資金に充当し、10~20%を人的資本投資や環境対応等の原資に、残り30%を株主配当に充てる方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)《HN》

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