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2026年3月期第1四半期決算説明
佐藤晴彦氏(以下、佐藤):2026年3月期第1四半期の決算説明会を開始します。本日ご説明を担当する三菱HCキャピタルCFOの佐藤です。本日はご多用のところ、みなさまご参加いただき、誠にありがとうございます。
当社は昨年度まで、本決算と中間決算の年2回決算説明会を実施していましたが、今年度から第1四半期と第3四半期についてもオンラインによる決算説明会を実施することにしました。当社の決算内容や事業の状況について、ご理解を深めていただければ幸いです。
本日は、先ほど開示した決算概要資料の内容をご説明します。その後、みなさまからご質問をお受けしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
ハイライト

決算概要資料のハイライトをご覧ください。この第1四半期の実績については、不動産セグメントでアセット売却益が増加したこと、またロジスティクスセグメントと航空セグメントの業績が好調に推移したことが挙げられます。
さらに、航空機エンジンリース事業の子会社であるelfc(Engine Lease Finance)、海上コンテナリース事業の子会社であるCAI(CAI International)、鉄道貨車リース事業の子会社であるPNW(PNW Railcars)、これら3社の決算期変更による増益効果も寄与し、純利益は前年同期比180億円増益の572億円となりました。
この決算期変更による増益効果については、後ほど詳しくご説明します。また、通期業績予想に対する進捗率は、この決算期変更の影響により35.8パーセントと高い進捗率ですが、おおむね見通しどおりとなっていますので、業績予想は据え置きとしています。
なお、米国の関税政策の影響については、引き続き業績予想に織り込んでいません。
決算実績

スライドでは、決算実績の主な指標を示しています。まず、①インカムゲインと②アセット関連損益は、ともに前年同期比で大きく増益しました。また、このページには記載がありませんが、前期と当期の決算期変更による増益効果をそれぞれ控除したベースでも増益となっています。
インカムゲインについては、ロジスティクスセグメントと航空セグメントが牽引しました。また、アセット関連損益については、不動産セグメントの大幅な増加が寄与しています。
④の契約実行高は、前年同期に航空セグメントや不動産セグメントで大口案件があったため減少しています。しかし、⑤のセグメント資産残高は、為替の影響を除くとほぼ横ばいとなっています。
第1四半期では前年同期と比較して為替レートが円高となり、P/LおよびB/Sともに為替レートの変動による影響は減少方向に出ています。
参考までにP/Lに関する為替感応度をお伝えすると、1円の円安が生じた場合、対米ドルでは純利益で約5.0億円、対ポンドでは約0.9億円の増益要因となります。
純利益の増減要因

純利益の増益要因について、ウォーターフォールチャートで示しています。このチャートの見方ですが、①から⑤の数字は税引前の数値を表し、⑥には税金費用が含まれています。
これら①から⑥の数値は為替影響を除いたもので、為替影響は⑦として別枠に計上しています。これにより、為替の影響を除いた実質ベースでの増減をご確認いただけます。
①のインカムゲインと②のアセット関連損益については、先ほどご説明したとおり堅調に推移しています。また、昨年度に大きな減益要因となった③の貸倒関連費用については、海外カスタマーセグメントのASEAN事業で事業構造改革費用を計上したものの、小幅な増加にとどまりました。
米州事業での貸倒関連費用は、前年同期比ではほぼ横ばいですが、直前の2025年3月期第4四半期と比べると半分以下に抑えることができました。
インカムゲイン・アセット関連損益の推移

このスライドでは、2021年4月の経営統合以降のインカムゲインとアセット関連損益の推移をご紹介しています。ご覧のとおり、収益の基盤であるインカムゲインは、四半期ごとに多少の変動はありますが、年度ベースでは年率7.5パーセントのペースで着実に増加していることがおわかりいただけると思います。
インカムゲインを分子としたROAも年々改善しており、利益額だけでなく収益性も着実に向上しています。さらにインカムゲインに加えてアセット関連損益も、年間を通じて安定的に増加しており、当社が志向する資産回転型ビジネスによる事業成長を実現しているといえるでしょう。
連結子会社の決算取込期間の調整による影響

第1四半期の大きな増益要因の1つである「子会社の決算期変更」の影響についてご説明します。
この対象の3社については、決算期を12月から当社の決算期に合わせて3月に変更しました。三菱HCキャピタル単体と経営サイクルを整合させることで、子会社の業績を外部環境の変化も含めタイムリーに連結決算へ反映させることを目的としています。この取り組みは、前期の航空機リース子会社JSA(Jackson Square Aviation)に続くものです。
これにより、期ズレ解消期間である2025年1月から3月までの3ヶ月分の各社実績が、この第1四半期の連結決算に含まれています。
航空セグメントでは、前期のJSAと今期のelfcの比較において、セグメント利益が29億円増益しました。ロジスティクスセグメントでは、CAIとPNWの実績により、セグメント利益が62億円増益しています。
調整額には、米国で資金調達を行う財務子会社がこの3社に提供しているグループローンの貸付収益と調達コストにおける決算期のズレを解消した影響が含まれています。
カスタマーソリューション

セグメント関連情報についてご説明します。まずカスタマーソリューションセグメントですが、純利益は前年同期比で減益となっています。これは、前年同期に計上した積水リースの株式売却益が約30億円あったものの、これが剥落したことにより特別損益が減少したためです。
一方で、インカムゲインやアセット関連損益は着実に増加しています。とりわけインカムゲインについては、積水リースの売却によるマイナス影響を克服し、増益となっています。
貸倒関連費用が増加していますが、これは不動産セグメントにおいて、従来三菱HCキャピタル単体で行っていたファイナンス事業を子会社に移管したことにより、単体の一般引当率が上昇したためです。したがって、実質的に貸倒が増加しているわけではありません。
海外カスタマー①

スライドは海外カスタマーセグメントについてです。前期まで「海外地域」としていた名称を、今期から「海外カスタマー」に変更しました。これは名称の変更のみであり、セグメント情報等の区分や数値に影響を与えるものではありません。
あらためて、この海外カスタマーセグメントについては、欧州事業が伸長したことにより、為替影響を除くとインカムゲインは増益しています。また、貸倒関連費用については、先ほどご説明したとおり、ASEAN事業の事業構造改革費用により増加していますが、昨年度高い水準にあった米州事業では前年同期比でほぼ横ばいとなりました。
米州事業については、次でもう少し詳しくご説明します。
海外カスタマー③

米州事業の貸倒関連費用については、スライド右上の棒グラフでお示ししているとおり、昨年度は非常に高い水準で推移しました。
当第1四半期においては、前年同期比ではほぼ横ばいですが、直前の前第4四半期との比較では半分以下に低減しています。また、右下の表でお示ししているとおり、米国の大型トラック運賃のスポットレートには残念ながら大きな改善は見られませんので、市況は依然として厳しい状況が続いていると認識していますが、当社では審査基準の見直しや引き揚げ車両の販売力強化といった、昨年度から取り組んできた対策の成果が出始めていると考えています。
米国の関税政策の影響による下振れリスクはありますが、ここまでは順調に回復してきていると評価しています。
環境エネルギー①

環境エネルギーについてです。前年同期に計上した海外インフラ案件の持分売却益の剥落、のれんの償却を含む連結調整後のEuropean Energyの持分法投資損失などの影響により、残念ながら10億円の損失を計上しました。
こちらの赤字の主因は、インカムゲインが低水準となったことです。ただし、第1四半期はもともと売電収入が少ない時期でもあります。なお、太陽光発電事業は春から夏にかけて、風力発電では冬場の電力収入が大きくなる傾向があります。また、太陽光発電事業の子会社である「三菱HCキャピタルエナジー」は1月決算の会社であり、第1四半期の対象期間は2月から4月となりますので、太陽光と風力のいずれも売電収入が少ない時期に該当しています。
一方、通期では、売電収入の積み上げやアセット売却益の計上を見込んでいることに加え、European Energyにおけるアセット売却益が例年下期に偏重していることから、通期では前期を上回るセグメント利益の計上を見込んでいます。
航空①

航空セグメントでは、子会社の決算期変更の影響がセグメント利益を29億円押し上げたことにより、数値上は増益の大半が決算期変更の影響が占めているように見えます。
しかし内訳としては、前年同期に計上した当社単体が保有していた航空機の持分売却益(約20億円)が剥落したこと、さらに貸倒関連費用の戻し入れが剥落したことに加え、アセット関連損益も減少したということがあります。
このような中、それらをインカムゲインで打ち返した結果、この利益に達しました。なお、事業そのものは引き続き好調であると認識しています。
航空②

このスライドでは、航空機の機数や航空機エンジンの基数の推移を示しています。ご覧いただければ、着実に増加していることがおわかりいただけるかと思います。航空機の機数について、第1四半期では売却が先行したことにより一時的に減少していますが、通期では増加する計画となっています。
なお、本日午前中にリリースしましたが、エンジンリース事業の子会社であるelfcが、新型エンジンの保有拡大を目的として、航空機エンジンの製造大手であるCFM Internationalと、航空機エンジン50基の購入契約を締結しました。
これはメーカー系を除く独立系リース会社では最大規模の発注であり、独立系業界のトップであるelfcの地位が、CFM社に高く評価されたと自負しています。
航空機エンジンが不足している環境下、このような大型発注を行うことで、お客さまのリース需要に応えるとともに、業界リーダーとしての地位をさらに固めていきます。
ロジスティクス①

ロジスティクスセグメントについては、子会社の決算期変更の影響により、セグメント利益で62億円の増益効果がありました。これを除いても、昨年度に実施した海上コンテナの大型投資によるリース料収入の増加や、鉄道貨車リース事業におけるアセット売却益の増加により増益となっており、引き続き好調であると認識しています。
ただし、現時点では大きな影響は見られていませんが、今後、米国関税政策の影響で利益が押し下げられる可能性があるため、引き続き注視していきます。
不動産①

不動産セグメントについてです。アセット売却益が増加したことにより、大幅な増益となりました。また、貸倒関連費用に約15億円の戻し入れが発生しています。
これは、今年3月まで三菱HCキャピタル単体で行っていたファイナンス事業を、4月に子会社である三菱HCキャピタルリアルティに移管した結果、貸倒実績が極めて低いリアルティの一般引当率で引当金を再計算したことによるものです。この再計算により戻し入れが発生しました。
逆に三菱HCキャピタル単体では、先ほどカスタマーソリューションのページで少しご説明したように、一般引当率が上昇したため、カスタマーソリューションで追加の貸倒関連費用を計上しています。
ただし、不動産セグメントでの改善とカスタマーソリューションでの追加費用計上を相殺すると、最終的にはプラスの影響となっています。全体として悪影響はなく、いずれにせよ会計上のことですので、実質的な貸倒状況に大きな変化はありません。
不動産事業に関しては、先月7月に機関投資家向けに「事業別説明会」を実施しました。当日のプレゼン資料や質疑応答の内容は当社のホームページに掲載していますので、ぜひご覧ください。
モビリティ

モビリティセグメントについては、ASEAN地域のオートリース事業でリース満了車両の売却益が増加したことにより、増益となりました。数字としては小さいですが、着実に進捗しています。
2026年3月期 業績予想

2026年3月期の業績予想についてご説明します。冒頭に説明したとおり、通期業績予想である純利益1,600億円に対して、この第1四半期の進捗率は子会社の決算期変更の影響もあり、35.8パーセントとなりました。
スライド中段の右側に、このブレイクダウンを示しています。カスタマーソリューションについては、ややチャレンジングな目標であるパートナー企業との新規ビジネスによる利益創出が少し出遅れていますが、高収益ビジネスの拡大は着実に進捗しています。
これにより、インカムゲインは前年比で増加しています。進捗率は20.7パーセントと目安の25パーセントを下回っていますが、順調に増益の動きが見られ、通期計画の達成を目指していきます。
海外カスタマーについての進捗率は10.5パーセントです。これは、先ほどご説明したASEAN事業における事業構造改革費用などによるもので、おおむね計画どおりに推移しています。米州事業における貸倒関連費用の減少や欧州事業の伸長により、通期での計画達成を目指していきます。
次に、専門事業5セグメントについてですが、先ほど申し上げた子会社の決算期変更の影響もあり、進捗率は40.2パーセントとなっています。
この子会社の決算期変更の影響についてですが、elfcにおけるエンジンの高稼働率などにより、期初計画比で純利益が約60億円上振れとなっています。しかし、全体としてはおおむね計画どおりに推移しているため、業績予想は変更していません。
米国の関税政策による業績への影響について

米国の関税影響についてあらためて当社の認識を説明します。5月の決算説明会でも申し上げましたが、当社は輸出入を行っていないため、当社事業への直接的な影響は限定的です。
一方、景気減速による企業の設備投資抑制や、グローバルな荷動き、人流の低下などによる間接的な影響をリスクとして想定しています。
各事業の現状をモニタリングしたところ、この第1四半期現在では目立った影響は生じていません。現時点では問題ありませんが、引き続き状況を注視していきます。以上で私からのご説明を終わります。
質疑応答:専門事業セグメントの進捗率、連結子会社の決算期変更の影響について

質問者:スライド25ページを拝見しています。あまり意味のない分析かもしれませんが、専門事業セグメントにおいて、連結子会社の決算期変更による影響を除いた進捗率を考える際、この903億円と249億円を比較した進捗率を見ればよいのでしょうか? 単純に、このグラフの意味が知りたいです。
佐藤:おっしゃるとおりです。

質問者:決算期変更の影響がご計画に含まれているため高めに出ていますが、これは期を追うごとに進捗率が計画どおりに推移していくということでしょうか。その理由としては、スライドで開示されている決算期変更の影響が第1四半期に含まれ、第2四半期や第3四半期以降には含まれなくなるため、進捗が緩やかになる構造だと理解すればよろしいですか?
佐藤:おっしゃるとおりです。
質疑応答:カスタマーソリューションの進捗と目標達成戦略について

質問者:カスタマーソリューションに関する質問です。先ほど進捗率が低い背景についてご説明いただきましたが、「ややチャレンジング」や「進捗が遅れている」とのことでした。その点について、現在具体的にどのような取り組みを行っているか、第1四半期までにどこまで進み、第2四半期以降にどのような成果が出てくる見込みで437億円に近づくのかというところを、もう少し詳しく教えていただけますか?
業績予想である純利益1,600億円に対して、カスタマーソリューションは437億円ということで全体の約3割を占めるため、その利益の状況次第では全体の純利益が変動する可能性があります。我々外部の者にとっては予測が難しくなるため、この点についてもう少し詳細をご教示いただけますか?
佐藤:カスタマーソリューションの今期の目標達成について、どのように取り組んでいるのかをご説明します。主に3つの大きな戦略に分かれています。
1つ目は、ベース収益と呼ばれるものです。これは通常のリース取引の残高を増やし、その中でもより収益性の高いものを増やしていくというものです。これが最初のモジュールです。
2つ目は、高付加価値ビジネスです。具体的には、半導体製造装置のリファービッシュ事業、これまでなかなか成長してこなかったヘルスケア領域での課題解決型ビジネス、さらにはパソコンのライフサイクルマネジメントがあります。ライフサイクルマネジメントは、導入から廃棄までのプロセスをサブスクリプション形式で提供するビジネスです。これらは収益性の高い事業です。
3つ目は、先ほどチャレンジングと申し上げたもので、外部のパートナーと一緒に新しいサービスを作って投入するという部分です。
今期のカスタマーソリューションのセグメント利益は昨年度に比べて約70億円の増益を目標として設定しています。増益額に占める比率として、1つ目のベース収益がおよそ6割、2つ目の高付加価値ビジネスがおよそ2割、3つ目の新サービスがおよそ2割として取り組んでいます。ベース収益はかなり実現できていると思っており、収益性の高い不動産や、ベンダーさまとのビジネスなどを今伸ばしています。
カスタマーソリューションは、インカムゲインが昨年と比べると16億円増加していますが、これは売却した案件のマイナスも打ち返すかたちで増加しています。まだ数字としては小さいですが、このような結果が出始めているため、これを第2四半期、第3四半期、第4四半期と経ることでさらに実現していくと考えています。
2つ目の高付加価値ビジネスについては、半導体のリファービッシュ事業が一部始まっていて、パソコンのライフサイクルマネジメントについても進捗していると理解しています。そのため、第1四半期の進捗としてはまだら模様ではあるものの、通期では十分に達成できると考えています。
先ほどチャレンジングと申し上げた3つ目の新サービスは、パートナーさまとさまざまなPoCを実施しているもので、例えばロボティクスのサブスクリプションサービスや、IoTをつけたフォークリフトのサービスなどがあります。
全体比率としては2割ですが、ここはややチャレンジ目標ということで、この第1四半期においてはまだ具体的な収益の実現には至っていません。これを今後伸ばしていくと考えています。
質問者:よくわかりました。確認ですが、最後にお話しいただいたチャレンジングという部分は、来期以降も取り組んでいく課題と認識してよいでしょうか?
佐藤:そうですね。今期の分を達成するのはもちろん、継続してさらに伸ばしていく部分だと思っています。
質疑応答:海外カスタマーの貸倒関連費用について

質問者:海外カスタマーに関してです。スライド左側の「現状・見通し」の部分で、「期初見通しを上回るペースで費用が減少」と書いてありますが、これは貸倒関連費用のことでしょうか?
佐藤:はい、おっしゃるとおりです。
質問者:スライド右上のグラフがわかりやすいですが、昨年は貸倒関連費用を単純に足し込むと296億円でした。
このままのペースで、第1四半期の36億円で横ばいだとすれば、年間で150億円弱になります。そうすると前年よりも150億円ほど減少すると思いますが、それよりも大きいペースでの減少を見通しているという理解でよいでしょうか?
佐藤:半分ほどになればよいというのが計画時の目標で、現在は目標より少し改善しているということです。
ただし、これは第1四半期だけの数字で、前回の第4四半期と比較するとかなり下回っているため、このままトレンドになっていくのかについてはかなり慎重に見ています。次の第2四半期も注視していきたいと思っています。改善傾向にあるということは言えると思います。
質問者:オペレーションにおいては昨年末から手を打っていたのですよね?
佐藤:はい。昨年度から手を打っています。
質問者:先ほど半分ほどとおっしゃったのは、296億円に対しての半分ということですよね?
佐藤:はい。
質疑応答:海外カスタマーにおける欧州のインカムゲインについて

質問者:海外カスタマーについて、スライドにある欧州のインカムゲインについて教えてください。為替の影響等があるのは重々理解していますが、昨年第1四半期の181億円に比べて、今期第1四半期が195億円になっており、個人的にはここが1つの課題だと思っています。
マネジメント評価として、欧州のインカムゲインの回復や伸びをどのように評価されているのかを教えてください。
佐藤:ご案内のとおり、欧州、特に英国の経済がかなり低下傾向にあるため、マーケット環境自体が非常に厳しいと認識しています。そのような中でも、昨年第1四半期に比べて今回は金額を増やしているということでいうと、手堅く商売を増やしているという理解をしています。
これは当社のMHCUK(Mitsubishi HC Capital UK)という英国のプラットフォームの良さであり、単なるマージン勝負だけではなく、お客さまにより質の高いサービス、カスタマーエクスペリエンスを提供できていると思います。
例えばクイックな与信判断をしたり、アフターフォローも含めて質の高いサービスを提供したりということで、単なるマージン競争だけにとどまらないサービスを提供しています。そのため、厳しい環境においても少しずつ増やせていると認識しており、ここは非常に堅調だと考えています。
質問者:英国外の大陸も旧日立キャピタル時代からビジネスがあったと思いますが、そこは今どのように捉えておくべきでしょうか?
佐藤:比率でいうと英国が大半で、大陸は自動車関係の商売をやっているものの、比率はかなり低いです。欧州全体の経済が現在少し低迷していますが、欧州の中でも英国が引っ張って利益を伸ばしている状況です。
質問者:英国が厳しいということであれば大陸への展開もありかと思いましたが、そのような状況ではないということですね?
佐藤:そうですね。これは次の中期経営計画でどうするかというのは議論していきますが、現在はまだ車両の台数が少ないため、すぐに2倍、3倍の規模に拡大できるような状況ではないというのが実態です。
質疑応答:連結子会社の決算期変更の影響について

質問者:連結子会社の決算期変更の影響についての質問です。スライドの表を見ると通期の計画に比べて第1四半期が多く出ているようにも見えますが、上振れている要因について教えてください。
佐藤:ありがとうございます。計画に比べて、航空機エンジンリース会社であるelfcの稼働率が、当初よりかなり改善したことによって上振れしたということが主な理由です。
質問者:その上で、通期の進捗に対してはインラインできているというお話がありました。例えば下振れているアイテムがあるのか、あるいはアセット売却益でコントロールできる部分があるため通期の計画に対してはインラインということなのか、このあたりのニュアンスを教えてください。
佐藤:ニュアンスとしては、例えば前年同期で比較すると良いところや悪いところが見えますが、期初計画との比較においては、どのセグメントもほぼ計画どおりに進捗しています。そのような意味では、すべてにおいてインラインだと認識しています。
質問者:計画どおりということは、上振れるという意味になるということでしょうか?
佐藤:決算期変更の影響を除いてということですね?
質問者:決算期変更の影響が上振れているため、全体としても上振れているということにならないのでしょうか?
佐藤:何を基準にして考えるかによりますが、25パーセントを基準に考えると、多少下振れているところもあります。
例えば先ほど申し上げた海外カスタマーです。海外カスタマーは貸倒関連費用が先行して発生したため、スライドにもあるように進捗率が10.5パーセントで、下振れて見えます。カスタマーソリューションも若干ですが、25パーセントから下振れているということです。
一方で、決算期変更の影響での一部上振れもあり、他にロジスティクスや航空においても、先ほど申し上げたとおり好調のため、そのあたりがすべて相殺されたかたちでのインラインだと認識しております。
質疑応答:来季以降の中期経営計画を見据えた改善ポイントについて
質問者:通期の利益の考え方についてです。これまでの質疑応答によると、通期の計画に対しては上振れのポテンシャルのほうが大きいと感じています。
一方で少し気になる事業セグメントも見受けられるため、来期以降の新中期経営計画を見据える中で、できれば今期中に手当てしておきたい事業セグメント、あるいは営業資産など、念頭に置かれている部分があれば教えてください。
佐藤:私としては、達成の自信はあるものの、そこまで大きく上振れるとはいえないと考えています。これは先ほどのご質問にもありましたが、決算期変更だけを見れば多少上振れている状況です。しかし、15ヶ月決算になっているため、最終的には15ヶ月を締めてみないとわからないということもあります。
また、みなさまご承知のとおり、不透明性の高い経済状況が続いているため、上振れがこのまま続いていくかどうかについては、通期で見ると安心できないという感覚を持っています。
そのような中で、来期に向けて、あるいは次の中期経営計画に向けての手当てですが、これは現在の状況を象徴していると思います。1つはやはり海外カスタマーにおける米州です。前期に比べて今期は貸倒関連費用が減ると認識していますが、完全に正常化するわけではないと思います。
そのため、これをいち早く正常化させることが、まさに次の中期経営計画に向けた1つの大きな課題だと思っています。
もう1つはカスタマーソリューションです。先ほどチャレンジングなところもあると申し上げましたが、このセグメントをしっかりしていかないと足元がぐらついてしまいます。カスタマーソリューションの収益を十分に伸ばしていくという意味でいうと、先ほどおっしゃられた「次の中期経営計画に向けても実施していくのですね?」というところを増やしていきたいと思います。例えばロボティクスや、他の新しい事業を進めていく必要があると考えています。
さらに、先ほど第1四半期においては赤字の決算になっていると申し上げた環境エネルギーです。European Energyは買収当時の想定でも、買収から数年はのれん相当の償却もあり大きな収益貢献は見込まれていませんが、実態としてもEuropean Energyからの取り込み収益がまだまだ少ない状況が続いています。
工夫をして、さらに多くのピックアップ利益が取れるように改善していくことが、次に向けた大きな課題と考えています。
質疑応答:航空事業の評価について

質問者:航空事業についてです。航空機エンジンリース会社のelfcが非常に好調だったとご解説いただきました。JSAとelfcで区分した時に、航空事業をそれぞれどう評価されているかを教えてください。
佐藤:まず航空全体でいいますと、現在マーケットが非常に良い状況です。旅客数はコロナ禍以前に戻っており、非常に需要の強い状況が続いているといえます。
一方で、機体やエンジンの供給については、さまざまな要因があり、いわゆるバリューチェーンで滞っていたり、あるいは一部の機体製造メーカーでも問題を抱えていたり、以前に比べると機体の供給がまだ戻ってきていない状況です。
そのような意味では、どちらのビジネスもマーケットがタイトになっており、リース料の水準あるいは売却する時の売却価格という意味でも、非常に良い状況が続いていると考えています。
ここからは機体とエンジンに分けてお話ししますが、機体のほうは従来継続して行っているビジネスです。先日発表したように、少し先にはなるものの、機体をまとめて発注しており、フリートとしては緩やかに大きくしていくところです。
ただし、かなり金額としては大きくなってきています。そのため、これを2倍、3倍というかたちにしていくよりも、いかに安定的に収益性を上げていくのかが課題だと思っています。
一方、エンジンリースについては、エンジンメーカー系のリース会社を除き、独立系のリース会社としては業界トップの地位を確立しています。
今回の50基のまとめ発注でさらに強化していけるため、今後も伸ばせる余地があると思います。他社があまり行っていない領域のビジネスのため、当社としての強みが活かせるところから、メリハリのハリの部分かと私は認識しています。
ただし、ここは次の中期経営計画に向けて日々議論している部分のため、来年の春以降でさらに解像度を上げてお示ししたいと考えています。
質疑応答:ロジスティクス事業の評価について
質問者:ロジスティクス事業についても、先ほどと同様にCAIとPNWを区分してトーンを教えてください。特にPNWに関しては、おそらく今期から売却益も増えてくると思うため、その点についても第1四半期のトーンについて教えてください。
佐藤:まずマーケット環境ですが、海上コンテナのほうは安定的にマーケットが伸びており、もちろんトランプ関税の影響はゼロではないものの、全体としては物流が非常に好調に伸びています。鉄道貨車についても、現在のアメリカの物流は活況のため、非常に高い稼働率で運営できています。
CAIはご存じのとおり3年前に買収してポートフォリオを拡大し、全社のポートフォリオの中ではそれなりの部分を占めるようになってきています。海上コンテナはインカムゲインを中心に、リース満了時にコンテナを売却することで、インカムゲインだけでなく売却益も得ていく収益性の高い事業なので、今後も緩やかに大きくしていくような方向性ではないと考えています。
鉄道貨車については今後も議論すべき分野です。貨車リースの業界は、トップ10社でマーケットの8割ぐらいを占めているような業界で、当社の持っているPNWの全体を占める比率というのは相対的には少し低いのが現状です。
これを今後どのようにしていくのかは、まさに次の中期経営計画のテーマだと思っています。ただし、鉄道貨車は海上コンテナ以上に息の長いアセットで、少しずつ簿価が下がってきてマーケットが高いうちに売るとキャピタルゲインが取れる資産回転型ビジネスです。
PNWは歴史の浅い会社のため、ようやく今簿価が低下した貨車が出てきました。資産回転型ビジネスを昨年度から始めており、今年度はかなり収益に貢献しています。今後どこまで貢献できるかを見定めていくフェーズだと思っています。
質問者:PNWは昨年度までボトムの利益貢献がかなり限定的だったと思いますが、この第1四半期から少しずつ利益貢献が出てきているという認識でよろしいでしょうか?
佐藤:はい。おっしゃるとおりです。
質疑応答:連結損益計算書の資金原価について

質問者:資金原価についてです。YoYが低下していますが、御社の場合は外貨も絡むため、為替や円建て/外貨建てのレートの要因で分けた時に、何が低下要因になっているのか教えてください。
佐藤:非常に鋭いご質問です。おっしゃるとおり、資金原価は前期第1四半期に比べると28億円減っています。ここ最近、特に外貨の金利の上昇が続いており、コロナ禍明け以降資金原価では増えていましたが、金利要因は今回初めて減少に転じました。
全体構成をご説明すると、この中で金利要因が8億円の改善となっており、通貨別だと円は金利が徐々に上がってきているため、16億円の悪化です。
一方でドルとポンド、その他の通貨で改善が出ており、ネットとして8億円の改善になっています。他は平均残高の要因で、これは当然残高が増えているため、結果的に14億円増えています。為替はほぼフラットで、残りは決算期変更の影響です。
質問者:外貨のレートが下がった要因が一番大きいという理解でよいですか?
佐藤:はい。金利要因としては一番大きいです。
質疑応答:elfcが新型航空機エンジン50基を発注した件について
質問者:今日のエンジンリースのリリースに関してです。御社のリリースには直接的には書かれていませんが、日経新聞などが1,700億円と報じています。この金額は目線として近いものでしょうか?
佐藤:これはカタログ価格と書いてあったかと思います。メーカーであるCMF社はさまざまな方と取引されているため、elfcといくらで取引したかというのは開示を差し控えさせていただきたいと思います。申し訳ございません。
質問者:仮にそのカタログ価格であれば、elfcのアセットに対してはかなり大きな投資になるように見えます。そのような理解でよいでしょうか?
佐藤:そうですね。elfcも売ったり買ったりをしていますので、必ずしもこの50基が純増とは限りませんが、先ほどの開示資料にも出ていたように、現在elfcが持っているエンジンの基数がおよそ400基です。これに比べた50基ということは、それなりのインパクトがあるといえると思います。
質問者:何年ぐらいでデリバリーというイメージでしょうか? 例えば飛行機などはオーダーブックがかなり先になり、契約後に入ってくるまで時間差がありますが、エンジンリースはそれほどではないのでしょうか?
佐藤:そうですね。イメージとしては3年から4年間です。
質問者:来期に50基が一気に乗るということではないのですね?
佐藤:はい、そういうことではないです。
質疑応答:連結子会社の決算取込期間の調整について

質問者:決算期の変更についてです。決算期のズレが何年かにわたって生じている背景はご説明いただいたとおりで、最終的にMHC側に合わせるというご解説でした。
ここから買収するなどはさておき、来期以降、主要子会社で決算期が3月になっていないものは、ほぼないという理解でよいでしょうか?
佐藤:そうですね。主要子会社については、ほぼ片づいたとご理解いただければと思います。
質問者:来期にて決算期変更の取り込み調整が発生しないとなると、仮にそこだけ切り出した場合、今期に乗っている分はYoYでいうと減益要因になってしまうという理解でよいでしょうか?
佐藤:おっしゃるとおりです。
それでは以上をもちまして、三菱HCキャピタル2026年3月期第1四半期決算の説明会を終了させていただきます。本日はご参加いただきまして誠にありがとうございました。引き続き当社グループをどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
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