マーチャント・バンカーズ、25年10月期は大幅営業増益予想で2Q累計順調、上値を試す展開を期待

2025年6月20日 07:46

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 マーチャント・バンカーズ<3121>(東証スタンダード)はマーチャント・バンキング事業として不動産・企業投資関連などを展開している。今後の投資方針としては27年10月期末を目標に、全体の投資金額の3分の1程度ずつを融資、エクイティ、不動産に投資するポートフォリオの構築を目指すとしている。25年10月期は大幅営業増益予想としている。安定的家賃収入をベースとして、賃貸用不動産の取得・売却を積極的に行う方針だ。第2四半期累計(中間期)は不動産物件の売却が進み大幅営業増益と順調だった。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は急伸して年初来高値を更新した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■マーチャント・バンキング事業を展開

 マーチャント・バンキング事業として不動産・企業投資関連などを展開している。さらに新規分野としてブロックチェーン・NFTプラットフォーム関連、再生エネルギー関連などにも展開している。

■不動産投資は資産性の高い収益不動産の取得を推進

 不動産投資関連は、主にネット利回り5%以上を期待できる大都市圏の賃貸用マンションを中心に、安定的収益源となる資産性の高い収益不動産の取得を推進するとともに、保有物件売却による売上利益の積み上げも推進している。

■企業投資はハンズオン型中心でM&Aも強化

 企業投資関連は、投資先とともに企業価値を創造するハンズオン型の投資を行い、バリューアップによるエグジットを目指す。投資実績としては、ブロックチェーンプラットフォーム開発のアーリーワークス、デジタルマーケティング支援のポイントスリー、ブライダル・ホテル運営のホロニック、見守り型介護ロボット開発のIVホールディングスなどがある。

 23年3月にはセキュリティチップを開発・製造するEnova Technology社(台湾)に資本参加した。24年6月にはColorsJapan社と業務提携した。24年10月には、アジア市場を中心にゲームソフト販売等を展開するGCL Global Limited(GCL社)が発行した転換社債200千米ドルを取得した。この転換社債の権利行使を行う際はGCL社のグループ会社であるGCL Global Holdings(GCLGH社)が発行する株式を取得することになる。

 24年11月には、ColorsJapan社と、貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)による資金を活用し、地方創生型のM&Aに取り組むと発表した。第1号案件として伊香保温泉「明野屋」など、ColorsJapan社のホテル・旅館プロジェクトのクラウドファンディングに着手した。

■新規事業分野

 新規分野としては、ブロックチェーン・NFTプラットフォーム関連、再生エネルギー関連などに展開している。

 ブロックチェーン関連では、STO(Security Token Offering)を活用したサービスとして、20年2月にサービス開始したエストニア暗号資産交換所ANGOO FinTech関連、海外投資家向けを中心とする日本不動産プラットフォームなどの不動産テック関連、医療エコシステムのメディテックプラットフォーム関連、NFT(Non―Fungible Token=非代替性トークン)プラットフォーム関連などを展開している。

 海外(欧州)では20年10月に子会社BFHへANGOO FinTech運営を移管してエストニアでの事業統括会社と位置付けた。またエストニアの子会社EJTCは、バルト3国で運営する証券取引所Nasdaq Baltic上場(21年3月上場)のメリットを活かし、エストニアを代表する企業を中心に投資を行っている。

 再生エネルギー関連では23年7月にEV充電器設置事業への取組を開始した。自社保有するマンションの駐車場や投資先であるホロニックが運営するホテルの駐車場への設置から着手し、新たな設置場所を確保しながら事業拡大を目指す。また23年7月には太陽光パネル設置事業への取組を開始した。自社保有マンションの屋上等へ太陽光パネル設置し、蓄電や売電によって収益確保を目指す。23年8月にはセコムの防犯カメラ設置実績も豊富なDコーポレーションと、防犯カメラ設置ならびにIT関連事業の分野で業務提携した。

 23年12月には、プラスチック循環再生事業を手掛ける循環資源ホールディングスと資本業務提携(第三者割当増資により5.77%出資)した。関東圏に再生油生成プラントを設置する。24年12月には、同社が21年3月に不動産取引決済手段として発行したオリジナルトークン「MBK COIN」の再活用をリリースした。NFTゲーム内での活用、およびネット販売におけるポイントサービスとしての活用に取り組む方針だ。

■今後の投資方針

 25年5月に今後の投資方針を公表した。27年10月期末を目標に、全体の投資金額の3分の1程度ずつを融資、エクイティ、不動産に投資するポートフォリオの構築を目指すとしている。

 具体的施策として、融資では上場株式担保融資(25年1月に株式担保融資事業の取組開始をリリース)を中心に、売掛金や不動産などを担保とした融資事業に取り組む。25年4月には株式担保融資事業で財全GROUP社と業務提携した。エクイティのM&Aでは、24年6月に業務提携したColorsJapan社をはじめとする協力先からの紹介・提案案件活用する。企業・案件への投資では、業務提携等も活用しながら再生エネルギーや系統系電池などの分野への投資を継続する。また不動産では、これまで注力してきた投資用マンション等の物件に加え、仲介事業にも注力して収益性を強化する。

■25年10月期大幅営業増益予想で2Q累計順調

 25年10月期の連結業績予想は売上高が前期比3.5%増の46億円、営業利益が84.0%増の6億円、経常利益が152.5%増の2億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が9.9%増の2億円としている。配当予想は24年10月期と同額の2円(期末一括)としている。予想配当性向は29.3%となる。

 第2四半期累計(中間期)は、売上高が前年同期比14.7%増の16億27百万円、営業利益が6.7倍の1億04百万円、経常利益が2百万円(前年同期は72百万円の損失)、そして親会社株主帰属中間純利益が1百万円の損失(同13百万円)だった。

 投資事業において回収が下期にずれ込んだ影響などで計画(24年12月13日付の期初計画値、売上高17億円、営業利益2億20百万円、経常利益80百万円、親会社株主帰属中間純利益65百万円)を下回ったものの、前年同期比では不動産物件の売却が順調に進み大幅増収・大幅営業増益だった。

 不動産売却は3物件(札幌市中央区、東京都練馬区、東京都大田区、合計で売上高が11億67百万円、営業利益が1億43百万円)だった。一方で1物件(東京都杉並区、取得経費26百万円)を取得した。保有不動産物件(販売用不動産を除く)の賃貸収入による売上高は4億59百万円だった。なお営業外費用では株主優待引当金繰入額13百万円を計上し、特別利益では前期計上の関係会社株式売却益90百万円が剥落した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が5億75百万円で営業利益が40百万円、第2四半期は売上高が10億52百万円で営業利益が64百万円だった。

 通期の連結業績予想は期初計画を据え置いている。10億円体制を構築した安定的家賃収入をベースとして、賃貸用不動産の取得・売却を積極的に行う方針だ。25年5月には販売用不動産売却(大阪府和泉市、共同住宅、決済・引渡25年6月20日予定、売上高並びに売却益42百万円程度)をリリースした。また不動産以外の案件投資への取り組みも強化する。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株主優待制度

 なお24年6月3日に株主優待第3弾を発表した。24年10月31日から1年間3単元(300株)以上保有した株主を対象にクオカード5000円分を贈呈する。また24年10月28日に株主優待第4弾の実施を発表した。株主優待実施頻度を拡充し、25年4月末時点で60単元(6000株)以上保有株主を対象に、資本業務提携先であるColorsJapanが地域創生案件として取り組んでいる宿泊施設の6万円相当の宿泊券などを贈呈(1品を選択)する。

■株価は年初来高値更新

 株価は急伸して年初来高値を更新した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。6月19日の終値は367円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS6円83銭で算出)は約54倍、今期予想配当利回り(会社予想の2円で算出)は約0.5%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS142円71銭で算出)は約2.6倍、そして時価総額は約108億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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