ケンコーマヨネーズ、原材料高でも増収予想、価格改定と効率化が寄与、割安感で投資妙味も

2025年6月9日 07:44

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ケンコーマヨネーズ<2915>(東証プライム)はサラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類などを展開している。25年3月期から36年3月期までの12年間を対象とする中長期計画では、ビジョンに「サラダ料理で世界一になる」を、経営目標値に最終年度36年3月期のROE8%以上、DOE2.5%以上などを掲げている。26年3月期は価格改定効果等で増収だが、原材料価格上昇や固定経費増加などの影響で小幅減益予想としている。ただし保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は反発力の鈍い形だが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類などを展開

 サラダ・総菜類、タマゴ加工品、マヨネーズ・ドレッシング類の調味料・加工食品事業、日配サラダや総菜等のフレッシュ総菜およびグループ内生産受託の総菜関連事業等、その他(サラダカフェ等)を展開している。ロングライフサラダは国内市場シェア1位である。ショップ事業のサラダ専門店Salad Cafe(サラダカフェ)は対面の量り売りサラダや弁当の販売を展開している。

 なお同社は8月24日を「ドレッシングの日」と制定している。ドレッシングは野菜にかけて使用することが多いため、831(やさい)にかける→8×3×1=24で24日を、またカレンダーで見ると野菜の日(8月31日)の真上にあるのが8月24日であることから、野菜にドレッシングをかける様子をイメージして8月24日を「ドレッシングの日」と制定した。また26年2月に東京本社を東京都千代田区麹町に移転する。

 25年3月期のセグメント別売上高(外部顧客に対する売上高)は、調味料・加工食品事業(単体)が718億87百万円、総菜関連事業等(連結子会社)が189億54百万円、その他(サラダカフェ等)が8億61百万円だった。調味料・加工食品事業の内訳は、サラダ・総菜類が209億48百万円、マヨネーズ・ドレッシング類が273億55百万円、タマゴ加工品が217億95百万円、その他が17億88百万円だった。営業利益(調整前)は調味料・加工食品事業が38億94百万円、総菜関連事業等が8億62百万円、その他が3百万円、調整額が84百万円だった。販路別売上高構成比は外食が28.9%、量販店が27.8%、CVSが21.2%、パン(製パンメーカー等)が12.4%、給食(学校、老健施設等)が4.5%、その他が5.3%だった。

■ビジョンは「サラダ料理で世界一になる」

 25年3月期から36年3月期までの12年間を対象とする中長期経営計画「KENKO Vision 2035」では、ビジョンに「サラダ料理で世界一になる」を掲げ、Phase1の25年3月期~28年3月期を事業構造改革の期間、Phase2の29年3月期~32年3月期を再成長の期間、Phase3の33年3月期~36年3月期を進化・発展の期間と位置付けている。

 経営目標値には、Phase1の最終年度である28年3月期の売上高1020億円以上、営業利益33億円以上、DOE1.5%以上、Phase3の最終年度である36年3月期の売上高1250億円以上、営業利益75億円以上、営業利益率6%以上、ROE8%以上、海外売上高比率10%以上、DOE2.5%以上を掲げている。

 Phase1~Phase3合計(25年3月期~36年3月期)の資本配分(投資額)の計画としては、成長戦略に239億円(M&A含む海外進出62億円、新規事業投資25億円、システム投資31億円、事業拠点強化120億円)、スマート化に182億円(事業拠点再編70億円、DX推進等112億円)、人材投資に122億円(教育・人材育成施策62億円、エンゲージメント向上施策60億円)、サステナビリティと社会的責任に205億円(株主還元104億円、自己株式取得45億円、ESGへの投資54億円)、合計749億円としている。

 事業環境の変化に対応した抜本的改革と企業価値の更なる向上を目指し、基本戦略としては、成長戦略(既存事業の収益基盤強化、ブランド構築の実行、事業ポートフォリオの再構築、事業環境変化への対応など)、スマート化(DXを通じた企業改革と生産性向上、成長・合理化・効率化に向けた事業拠点再編など)、人材投資(グローバル企業化、働き方改革としてのダイバーシティ推進、人材育成の強化、キャリアプランが形成できる施策の検討など)、サステナビリティと社会的責任を推進する。

 成長戦略ではマーケットインの発想による商品開発、基盤商品のブランディングとNB商品比率の上昇、海外比率の上昇、SNSを活用したEC事業の拡大、持続可能な原料調達、新規事業へのチャレンジなどを推進する。スマート化ではRPAやAIを活用したDXの推進、グループシステムの最適化、生産分野における新技術構築や合理化・集約化・環境効率化などを推進する。人材投資では人材育成の充実化、育成システムの構築、働き方改革の実行、ダイバーシティへの対応などを推進する。サステナビリティと社会的責任ではサステナビリティ方針に沿ったロードマップと投資の実行、人を大切にする健康経営、地域社会への貢献と共創、リスクマネジメントの徹底、コーポレート・ガバナンスの強化を推進する。

 また、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応については、事業基盤の強化と事業ポートフォリオの再構築による成長戦略を推進し、資本戦略も強化しながら企業価値の向上を図るとしている。資本・財務戦略では株主還元強化(安定的な配当)、政策保有株式の縮減、自己株式取得、株主・投資家との対話強化などを推進する。

■サステナビリティを意識した新製品

 23年9月には、新たなプラントベースフードとして、植物性原料を使用した「タマゴ風加工品」を発表した。プラントベース商品「HAPPY!! with VEGE」シリーズとして、植物性たまごの研究開発・販売を行うUMAMI UNITED JAPANと協業し、主力の「タマゴ加工品」の新たなカテゴリーとなる「植物性タマゴ加工品」として商品を開発・展開する。23年10月にはフードサービス業界向けプラントベース商品「HAPPY!! with VEGE」シリーズとして、たまご不使用のプラントベースのたまご風サラダ「まるでたまごのサラダ」を発売開始した。

 25年3月には、子会社ダイエットクックサプライ(広島県福山市)が地元・広島で規格外食材を活用する商品ブランド「福山工場長」が、一般社団法人ソーシャルプロダクツ普及推進協会主催「ソーシャルプロダクツ・アワード2025」ソーシャルプロダクツ賞を受賞した。

■26年3月期小幅減益予想だが保守的

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比4.1%増の955億円、営業利益が0.9%減の48億円、経常利益が0.6%減の49億70百万円、親会社株主帰属当期純利益が8.2%減の32億17百万円としている。配当予想は前期比4円増配の47円(第2四半期末23円、期末24円)としている。連続増配で予想配当性向は21.8%となる。

 セグメント別売上高計画は、調味料・加工食品事業(単体)が前期比5.4%増の757億95百万円(サラダ・総菜類が8.2%増の226億64百万円、マヨネーズ・ドレッシング類が5.3%増の287億96百万円、タマゴ加工品が2.7%増の223億87百万円、その他が9.0%増の19億48百万円)で、総菜関連事業等(連結子会社)が0.4%減の188億81百万円、その他(サラダカフェ等)が4.7%減の8億21百万円としている。

 営業利益(前期比45百万円減少)の要因別増減見通しは、価格改定効果で29億01百万円増加、生産効率化で8億41百万円増加、販売数量減少で2億37百万円減少、原材料影響で16億02百万円減少、固定経費等の増加で19億49百万円減少としている。なお価格改定は25年4月1日納品分より約1200品目について実施した。また生産効率化に関しては、26年3月期に約200商品の統合を実施し、約6億円のコスト削減を見込んでいる。

 26年3月期は価格改定効果等で増収だが、原材料価格上昇や固定経費増加などの影響で小幅減益予想としている。ただし保守的だろう。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株主優待制度は毎年3月末の株主対象

 株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年3月末日現在の株主を対象として、保有株式数に応じて当社商品を贈呈している。

■株価は調整一巡

 株価は反発力の鈍い形だが、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。6月6日の終値は1835円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS215円59銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の47円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2678円13銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約302億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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