京写は、26年3月期大幅増益・連続増配予想、国内の販売価格適正化や生産性向上を推進、インドネシアで新規生産ライン導入

2025年5月28日 07:32

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 京写<6837>(東証スタンダード)はプリント配線板の大手メーカーである。成長に向けて6つの重点戦略(グローバル生産・販売戦略、企業間連携戦略、効率化戦略、技術戦略、財務戦略、人財戦略)を推進し、独自のスクリーン印刷技術を活用したグローバルニッチトップメーカーを目指している。25年3月期は増収増益と順調だった。北米やASEANの需要が堅調に推移し、中国における生産性向上や付加価値の高い金属基板の好調も寄与した。26年3月期は大幅増益・連続増配予想としている。国内において販売価格適正化や生産性向上を推進するほか、インドネシア拠点に新規生産ラインを導入して収益拡大を図る。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は4月の安値圏から反発して戻り歩調だ。低PERや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。

■プリント配線板の大手メーカー

 プリント配線板の大手メーカーである。世界最大の生産能力を誇る片面プリント配線板、および両面プリント配線板を柱として、実装治具関連事業も展開している。販売先は自動車関連、家電関連、事務機関連など、幅広い顧客層(国内1000口座、海外300口座)を獲得している。

 プリント配線板は独自のスクリーン印刷技術をベースとして、防塵対策基板、熱伝導放熱基板、ファイン回路片面基板などに技術的な強みを持っている。そして高温工程で繰り返し使用可能なノンシリコーンタイプ粘着キャリア、電子部品の急速な小型化に対応した業界初のスクリーン印刷法による0603チップ部品対応片面配線板、伸縮性のある材料にスクリーン印刷で直接回路を形成するストレッチャブル基板(プリンタブル基板)などの受注拡大が期待されている。

 プリント配線板の生産は国内、および中国、インドネシア、ベトナムに展開している。片面プリント配線板は世界最大の生産量を誇っている。メキシコ子会社では実装搬送治具を製造している。24年12月にはインド駐在員事務所を開設(25年5月予定)すると発表した。将来インド市場でのプリント配線板の事業拡大を目指す。

 ベトナム子会社は両面配線板のグローバル生産拠点として21年1月に販売開始、23年8月に第2生産ラインが稼働開始して生産能力が2倍に拡大した。自動車関連向けを主力としている。なおベトナム子会社には自動車関連電子部品実装のエヌビーシー(岐阜県大垣市、05年から資本業務提携して協力関係)が出資している。24年3月には同社を割当先とする増資を行い、増資後の出資比率は同社94.12%、エヌビーシー5.88%となった。

 21年5月にはメイコー<6787>と資本業務提携した。ともにプリント配線板事業を主力としているが、得意とする製品が異なるため棲み分けができている。中国やベトナムで事業拡大を進めるなど共通点が多く、グローバルに協業することで相互補完が可能な状況にあるとしている。経営資源の相互活用などでシナジー創出を図る方針だ。

 25年4月には、タイのFirst Quality(中国の四会富仕電子科技股分有限公司のタイにおける製造子会社、多層プリント配線板製造)と戦略的業務提携した。それぞれが得意とするプリント配線板分野で生産・販売の相互協力を行う。

■自動車関連が主力

 25年3月期のセグメント別業績(セグメント間取引消去前)は、日本の売上高が101億55百万円で営業利益が▲2億18百万円、中国の売上高が143億59百万円で営業利益が11億79百万円、インドネシアの売上高が28億30百万円で営業利益が6百万円、メキシコの売上高が1億58百万円で営業利益が▲7百万円、ベトナムの売上高が42億97百万円で営業利益が2億79百万円、売上高の消去が▲55億71百万円、営業利益の消去が37百万円だった。

 製品別売上高は両面基板(多層板、銀スルーホール基板含む)が108億70百万円、片面基板が104億43百万円、金属基板が14億80百万円、実装関連が26億44百万円、その他が7億90百万円だった。

 用途別の売上高は、自動車関連(ライト、電装品、カーオーディオ等)が114億81百万円、家電製品(LED照明、エアコン、炊飯器、冷蔵庫等)が48億76百万円、事務機(複写機、プリンター等)が35億99百万円、電子部品関連(電源、モーター、センサー等)が16億57百万円、電気機器(スマートメーター、計測機器、電動工具等)が8億19百万円、その他(映像機器、音響機器、アミューズメント等)が11億53百万円、実装関連(実装、治具等)が26億44百万円だった。実装関連の用途別構成比は産業機器が52.3%%、航空機が13.6%、自動車が9.5%、通信機器が5.0%、電子部品が3.1%、その他が16.5%だった。

■独自の印刷技術を活用してグローバルニッチトップメーカー目指す

 中期経営計画の目標値には26年3月期売上高270億円、営業利益16億円、営業利益率5.9%、ROE8%を掲げている。6つの重点戦略(グローバル生産・販売戦略、企業間連携戦略、効率化戦略、技術戦略、財務戦略、人財戦略)を推進し、独自のスクリーン印刷技術を活用してグローバルニッチトップメーカーを目指すとしている。

 グローバル生産・販売戦略では最適な供給網の再構築、車載・再生エネルギー分野向け両面・金属基板事業の拡大、片面シェア拡大による業界最大の利益確保、基板・実装・治具の販売シナジー最大化など、企業間連携戦略では顧客・仕入先との連携、同業他社との相互補完関係構築など、効率化戦略では自働化・IT化による生産効率向上、DX活用による業務効率化、トヨタ生産方式の水平展開など、技術戦略では市場ニーズに基づく開発資源の集中、超厚銅基板の技術確立、付加価値のある印刷技術の追求、生産技術を活用した新用途・新工法の開発など、財務戦略では持続的成長に向けた集中と選択による投資、自己資本の強化、持続的・積極的な株主還元など、人財戦略では社員満足度の向上、多様な人材能力の発揮、マネジメント人材の育成、信頼と安全の体制づくりなどを推進している。

■25年3月期は増収増益と順調、26年3月期は大幅増益・連続増配予想

 25年3月期の連結業績は売上高が前期比6.7%増の262億29百万円、営業利益が18.2%増の12億77百万円、経常利益が8.9%増の9億92百万円、親会社株主帰属当期純利益が1.6%増の6億14百万円だった。配当は前期比1円増配の11円(期末一括)とした。連続増配で配当性向は26.0%となる。

 増収増益と順調だった。国内は自動車向けプリント基板の受注回復が遅れたが、インドネシアは事務機分野の受注が回復し、ベトナムは北米向けの受動者分野の受注が堅調だった。利益面では中国における生産性向上や付加価値の高い金属基板の好調も寄与した。なお営業外収益では前期計上の補助金収入2億12百万円が剥落した。

 セグメント別の業績(内部取引を含む)は、日本の売上高が3.6%減の101億55百万円で営業利益が2億18百万円の損失(前期は1億97百万円)、中国の売上高が9.8%増の143億59百万円で営業利益が68.9%増の11億79百万円、インドネシアの売上高が33.0%増の28億30百万円で営業利益が6百万円(同80百万円の損失)、メキシコの売上高が20.9%増の1億58百万円で営業利益が7百万円の損失(同3百万円)、ベトナムの売上高が11.8%増の42億97百万円で営業利益が3.9%増の2億79百万円だった。

 製品別売上高は片面板が19.0%増の104億43百万円、両面板(多層板、銀スルーホール基板含む)が2.8%減の108億70百万円、金属基板が10.7%増の14億80百万円、実装関連が3.3%増の26億44百万円、その他が9.3%増の7億90百万円だった。片面版は事務機向けが回復し、両面版は自動車向けが減少した。用途別売上高は自動車関連が1.5%増の114億81百万円、家電製品が7.6%増の48億76百万円、事務機関連が38.3%増の35億99百万円、電子部品が10.5%増の16億57百万円、電気機器が19.0%増の8億19百万円、その他(映像機器、音響機器、アミューズメントなど)が17.2%減の11億53百万円、実装関連が3.3%増の26億44百万円だった。実装関連の用途別売上高構成比は産業機器が52.3%、航空機が13.6%、自動車が9.5%、通信機器が5.0%、電子部品が3.1%、その他が16.5%だった。

 なお全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が62億46百万円で営業利益が3億59百万円、第2四半期は売上高が65億61百万円で営業利益が3億06百万円、第3四半期は売上高が68億06百万円で営業利益が3億49百万円、第4四半期は売上高が66億15百万円で営業利益が2億63百万円だった。

 26年3月期の連結業績予想は売上高が前期比2.9%増の270億円、営業利益が25.3%増の16億円、経常利益が20.9%増の12億円、親会社株主帰属当期純利益が30.2%増の8億円としている。配当予想については前期比3円増配の14円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は25.4%となる。

 国内において販売価格適正化や生産性向上を推進するほか、中国リスクを背景にASEANからの基板調達を求める需要の増加に対応するため、インドネシア拠点に新規生産ライン(自動化設備)を導入して収益拡大を図る。なお米国関税政策の影響については、現時点では合理的に見積もることが困難なため織り込んでいない。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は戻り歩調

 株価は4月の安値圏から反発して戻り歩調だ。低PERや1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も評価材料であり、上値を試す展開を期待したい。5月27日の終値は370円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS55円16銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の14円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS676円53銭で算出)は約0.5倍、そして時価総額は約54億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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