川のせせらぎが集中力を維持する 三菱鉛筆が実証実験

2023年12月23日 12:34

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 三菱鉛筆(東京都品川区)は21日、特定の音で聴覚を刺激することで、集中力が向上する可能性があることを、実証実験で確認したと発表した。実験はストーリア(東京都中央区)と共同で行い、川のせせらぎ音に効果があると発見した。

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 集中力が落ちてくるタイミングで「川のせせらぎ(River Sound)」を流すことで、脳波が上昇。集中力が再び回復することが確認できた。実験では、EEG信号が取得できるヘッドバンドを実験協力者が装着。一定のリズムで読み上げられる1桁の数字を、前の数字と順次足し算していくPASATテストを行った。

 実験協力者には様々な聴覚刺激を与えて、集中力の変化を調べた。その結果、集中が途切れる後半の時間でも、川のせせらぎ音を背景音として流すと、正答率が向上すると分かったという。

 今後はサービス展開に向けて実験協力者を増やし、どの聴覚刺激が集中力を向上するか検証を続けていく方針だ。個人の勉強や日常的な作業の効率化のほか、授業の最適化などへの展開も見込んでいる。

 集中力の維持を個人の努力に委ねず、自動的に集中力を持続させるようなサービスの開発を想定している。

 三菱鉛筆は筆記具づくりに留まらず、手貝と集中の関係を明らかにし、新しい価値を創造することを目指している。これまでにも、筆記用具と集中の関係に関する研究について発表しており、2023年度人工知能学会全国大会でも論文が採択された。

 この論文は、ペンの動きから、手書きタスクを実施する時の集中力を予測する内容だ。大学生8名に、80分間アラビア語を書き写しさせ、脳波を記録。7名の実験者データをLong short-term memoryネットワークに学習させて集中力の予測モデルを構築。残り1名の実験者のペンの動きから、集中力を予測できるか調べた。

 その結果、集中する時間帯に対して80%以上の感度と特異点を達成。脳波の測定をしなくても、日常的な道具から脳内の状態を推測できる新たな手法の提案となった。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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