オーディオブックで視覚障がい者の読書量上げる調査 オトバンクと筑波技大

2023年7月21日 17:58

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(画像: オトバンクの発表資料より)

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 オトバンク(東京都文京区)は20日、筑波技術大学と共同で、オーディオブックの活用により視覚障がい者の読書量を向上させる調査を開始した。視覚障がい者の読書による影響や、利用する上での課題を明らかにする。

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 被験者は、視覚障がい者と聴覚障がい者のための大学である筑波技術大学の学生から、募集する。オーディオブックを提供して、利用前後にヒアリングやアンケートを実施。読書量の変化について調べる。

 オトバンクは、オーディオブックの制作と配信を行っており、視覚障がいや加齢で視力が衰えた人でも読書ができることを目指す「SDGs読書プロジェクト」を推進している。今回の調査もその一環。筑波技術大学から、視覚障がいのある学生の読書量を向上させたいと相談があったことがきっかけになり、開始する。

 読書は知識の習得に役立ち、教育や就労を支える。また、娯楽や教養にもつながる。だが録音図書や拡大図書、点字図書など従来の提供方法では点数が限られている。音声読み上げソフトで電子書籍を読む方法もあるが、漢字の誤読や対応していないファイル形式があるなどの課題があった。

 オトバンクが提供するオーディオブックは、プロの声優やナレーターが書籍を正しく読み上げる。社内設営のスタジオで収録し、スタッフがクオリティチェックも行うため聞き取りやすい。

 同社は500社以上のコンテンツホルダーと提携することで、毎日新作を配信。オーディオブックの作品数は1万5000点以上。ジャンルも小説や教養、語学、落語、ビジネス、自己啓発、ベストセラーなど幅広い。オリジナルコンテンツの制作も行っており、作品幅を広げている。

 筑波技術大学は、視覚障がい者と聴覚障がい者を対象とした大学のため、使いやすい学習資料を提供しているが、「大学生として教養を深めるためには、より多くの幅広い分野の書籍に触れてほしい」(筑波技術大学・宮城愛美准教授)と言う。

 尚、オトバンクの会員数は250万人以上。2022年1月には法人版もリリース。スキマ時間にオーディオブックを聞く音声学習を、社員教育に活用する提案も行っている。(記事:土佐洋甘・記事一覧を見る

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