訪問看護に特化した:リカバリーの成長を支えるのは「時代」と「ドミナント戦略」

2023年6月8日 16:23

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 Recovery International(東証グロース。以下、リカバリー)。看護師やセラピスト(国家資格を有する療法士)による訪問看護に特化した、ヘルスケア企業。現CEOの大河原峻氏が2013年に設立、昨年2月に上場した。看護師でもある大河原氏は、設立の経緯をこう語っている。

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 「27歳の時に看護師としての自分を見つめ直すために、アジアにボランティアとして出かけた。その折に各国で目にし、耳にして痛感した『病気で寝たきりになった家族は、家で看る』という姿勢、とある国で出会った友人の『家族なんだからみんなで協力して家で看るんだ』の一言が胸に突き刺さった」と、リカバリー起業のキッカケを口にした。

 正直、訪問看護に的を絞った事業展開が広義の介護という世界でやって行けるのかと、疑問を持った。しばらく、様子見を決め込むことにした。そして上場後初の2022年12月期を「23.4%の増収、6.2%の営業増益、7.4%の最終増益」で通過、今12月期を「24.8%増収(17億2800万円)、14.1%営業増益(1億7600万円)、15.3%最終増益(1億2400万円)」計画と知りウーンと唸った。

 そして第1四半期の「3億7600万円(中間期予想比48%)、6700万円(1.58倍)、3900万円(1.5倍)」を確認した段階で、「訪問介護」を調べ直そうと思わざるを得なくなった。

 厚労省の調査・推計からこんな流れを知った。

★2010年の訪問看護市場は1474億800万円(累計介護費用に対する割合1.94%)が、2021年には3723億9900万円(3.38%)に拡大している。

★2010年の訪問看護医療費は740億円(国民に医療保険総額の0.2%)に対し、2020年では3254億円(0.76%)。

★2040年(日本人の総人口の2割を75歳以上が占めると想定される)の在宅医療市場&在宅介護市場は36兆2000億円。ちなみに20年段階の訪問看護市場規模は、6682億円。

 成長市場。だけに「大手資本の参入、大手資本による中小業者のM&A」が予想される、と捉えるのが当然の流れ?

 前期だけでリカバリーは東京都に3拠点、兵庫県に1拠点を開設している。結果拠点は東京に14、兵庫に2、高知に2、沖縄に1。お気づきと思うが、リカバリーは「ドミナント効果」に照準を合わせた拠点展開を執っている。前記の「大手資本・・・」云々は承知の上で、歩みを進めているのだ。

 実際にどれ位のスタッフが従事しているのか。問い合わせた。IR担当者から返ってきた答えは、「未公表。が概ね1拠点:11名体制。看護師6名・セラピスト5名とご理解を」というものだった。

 1年余で後期高齢者の仲間入りをする身としては、興味を抱かざるを得ない存在である。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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