エヌビディアが時価総額1兆ドル超え、その見方は?

2023年6月2日 08:16

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●エヌビディアの時価総額が1兆ドル超える

 米半導体大手エヌビディアの株価が5月30日、一時419.38ドルを記録し、時価総額が1兆ドル(約140兆円)を超えた。

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 対話型AI(人工知能)チャットGPTなど、生成AI向け半導体への需要に対する期待感で買われた。

 その後、株価は400ドル近辺に落ち着いたが、アップルやマイクロソフトなどの時価総額1兆ドル超え企業の仲間入りをしたと、株式市場で話題になっている。

 米国の企業としては、GAFA+Mなどの大手IT企業とテスラに次ぐ、7社目の1兆ドル超え企業となるが、半導体企業としては初となる。

 世界的な半導体不足にAIへの期待が追い風となり、エヌビディアの快進撃は続くのか?

●エヌビディアとAI

 エヌビディアは、1993年に創業。カリフォルニア州サンタクララに拠点を置く、GPU(画像処理半導体)の設計に特化した半導体企業である。

 当初はPC向け、ゲーム向けのGPUを得意としていた。2000年代初頭にはマイクロソフトと共同でXboxを開発したり、ソニーと共同でPlaystation3のGPUを開発したりしていた。

 コロナ禍での半導体不足時に存在感を示し、2021年後半にはコロナ前の株価の約5倍上昇した。

 その後、半額以下に下落したが、2022年11月30日から公開されたチャットGPTは世界に大きな衝撃を与え、そのチャットGPTにGPUの需要が増加すると期待され、株価は上昇していた。

●1兆ドル超えを維持できるのか!?

 1兆ドル超えの先輩であるテスラは今や1兆ドルからは程遠くなっている。

 エヌビディアは第1四半期の決算が良好で市場予想を上回ったとはいえ、明らかに期待が先行している。

 PERも40倍を超えており、ダウ平均の2倍近くになっている。テスラのように一過性の人気で終わってしまう可能性もある。

 チャットGPTについては、革新的という評判がある一方で、イーロン・マスク氏ら危険性を指摘する声もある。

 今後、チャットGPT禁止論などが強くなってくるなどストップがかかると、エヌビディア株が大きく売られることも考えられる。

 米国株がさえない中、エヌビディア株は期待は持てるが、高値掴みは避けたいところである。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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