ランサーズの相次ぐ施策に、「業界トップの意地」を覚える

2022年8月24日 07:56

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プロフェッショナル人材戦略拠点との連携の仕組み(画像: ランサーズの発表資料より)

プロフェッショナル人材戦略拠点との連携の仕組み(画像: ランサーズの発表資料より)[写真拡大]

 ランサーズ(東証グロース)から8月18日付けで、『ランサーズ、埼玉県・長野県・福井県・鹿児島県のプロフェッショナル人材戦略拠点の登録人材事業者として活動開始~各県内の中小企業の成長に必要なデジタル人材のマッチングを支援~』と題するニュースリリースが届いた。内容は後述するが、一読し「業界トップの意地」を痛感した。

【こちらも】ランサーズが東日本銀行と提携 フリーランスのIT人材を中小企業につなぐ

 フリーランス(の求職)と企業の(求人)をマッチングする(クラウドソーシング)企業は、「働き方改革」という時代の潮流の中で相次いで設立(200社近く)されている。

 そうした中、ランサーズは潮の流れに先駆けて2008年4月に現社長:秋好陽介氏により設立された。原点は秋好氏自身の体験。秋好氏自身が語っているように、「大学在学中に自らネット関連のVBを設立しエンジニアとして、フリーランス的に働いていた」。

 卒業後はニフティに身を置き多くのインターネットサービスの企画運営を手掛けた。その中で、「個人と企業のマッチングサービス」を思い立った。自信はあった。「2年くらいで軌道化」を描いての立ち上がりだった。だが「売上増」も、利益を積み重ねる「苦」を業界トップの今なお背負っている。配信されたリリースを「業界トップの意地」と称したのも、そんな現状からである。

 過日のリリースは「東日本銀行との連携による、同行の顧客である中小企業のDX化(事業効率化)推進を」と言うものだった。

 今回は内閣府が46道府県に設置した「プロフェッショナル人材戦略拠点」が、ランサーズの連携先。総務省の発表で明らかなように「(中小企業の)DX化が進まない」理由として、「人材不足」(53.1%)が最大の要因となっている。

 ランサーズはこれまでにも富山県・栃木県と連携し、登録人材業者として活動してきた。「実績」が認められたからであろう。リリースの表題の通り、新たに4県で活動を開始した。

 我が住処:埼玉県を例に活動の枠組みを捉えると、こんな具合だ。ちなみに埼玉県プロフェッショナル人材戦略拠点(以下、プロ拠点)は、さいたま市大宮区に置かれている。

 ★入り口は地域企業からプロ拠点への、「経営・IT課題、人材の相談」。★全国に150万人を超えるプロフェッショナル・フリーランスを擁するランサーズはプロ拠点に対し、機会(事例共有会・相談会)をつくりプロ人材の活用・ノウハウを提供。★そうした活動を介しプロ拠点から、解決したい課題を持つ地元企業が紹介される。★ランサーズは企業に対し、プロ人材のマッチング支援を提案。★支援を要請する企業との間で、直接業務委託契約を結ぶ。

 ちなみに、埼玉のプロ拠点の場合、この(連携の)枠組みを活用し即戦力となる人材が確保できた時には人材紹介料は半額になる。

 経産省では「2030年、IT人材不足は79万人」と、試算している。

 ランサーズが中小企業を顧客とする地域金融機関やプロ拠点との連携を、どこまで拡充するか興味深い。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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