グリーンランドの氷床崩壊、温暖化の影響は長期に 北大が3000年まで予測

2022年3月26日 16:21

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西暦1990年から3000年までのグリーンランド氷床の体積減少予測(画像: 北海道大学の発表資料より)

西暦1990年から3000年までのグリーンランド氷床の体積減少予測(画像: 北海道大学の発表資料より)[写真拡大]

 地球温暖化の影響による問題の1つとして、氷床や氷河の融解によって起こる海面水位の上昇が知られている。沿岸地帯の多くは海面水位の上昇によって居住不可能になり得るため、気候変動による海面水位の上昇を理解することが必要となる。

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 北海道大学の研究グループは25日、効果的な気候変動対策が行われない場合、グリーンランド氷床が大規模な崩壊をするとの予測を発表した。同大はこれまで、世界の中でも巨大なグリーンランドの氷床の融解による、海面上昇の影響を調査してきた。

 グリーンランドの氷床が全て融解した場合、海面が7.4メートル上昇するだけの体積を有している。これまでの研究では、最も温暖化が進行した場合で2100年までに9センチメートルの海面上昇分の氷床融解が予測されていた。

 氷床融解の主な要因としては、大気の温暖化により氷の表面が溶けることや、海水の温度上昇による氷山分離が挙げられている。今回の研究では、さらに西暦3000年までのグリーブランド氷床融解による海面上昇の将来予想を実施した。

 今回のシミュレーションでは、3000年までに温室効果ガス排出量削減がなされた場合、海面上昇は28センチメートルに留まった。一方で温暖化が進行した場合のシミュレーションでは、179センチメートルもの海面上昇が起きる結果となった。

 このことは、21世紀の間の気候変動によるグリーンランド氷床融解への影響は、その後の時代へも続くことを示唆している。そのため、今後数十年間の気候変動対策が長期間に渡るグリーンランド氷床氷床の崩壊を防ぐうえで重要となる。

 また、同様に南極の氷床についても温暖化による同様のリスクが指摘されている。北海道大学は1月24日にも南極の氷床崩壊について、同様に気候変動対策が重要であると発表している。両者で氷床崩壊のメカニズムは異なるものの、長期的な海面上昇への影響が大きい点については同様のため対策が必要となる。

 今回の研究成果は14日付の「Journal of Glaciology」誌のオンライン版に掲載されている。

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