「こてっちゃん」のエスフーズが、コロナ禍でも収益・株価好調な分け

2022年2月16日 16:33

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 鍋料理が旬の季節になった。「こてっちゃん(登録商標。牛の小腸を使った、もつ食材)」で知られるエスフーズ(東証1部)はコロナ禍でも堅調な利益の推移を見せている。その「何故」を書こうと思った。

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 多少なりとも原稿に味をつけようと、例えば「こてっちゃん」の名前の由来を調べた。朝鮮語で牛の大腸は「てっちゃん」と言うのだそうだ。そこで小腸だから「“こ”てっちゃん」にしたのだとか。5月12日は日本記念日協会に認定された「こてっちゃんの日」。「5=こ」「10=て(ん)」「2=つ(う)」をもじったものだとか。等々、だんだん本論から離れていってしまった。そして「鍋料理の歴史」を知りたくなった。

 「土器が使われていた縄文・弥生時代に土器(鍋)を火にかけて煮炊きをしていたから・・・」という起源説があるが、否定されている。周知の通り鍋料理は「つつく」もの。古来は単なる料理の器具に過ぎず、均等に?分け与えられて食べていたから「ノー」。

 「煮込みながら食べるという点からは、江戸時代」が正解とされている。持ち運びができる七輪の普及がキッカケ。今でもポピュラーな「湯豆腐」が人気だったとか。

 「鍋料理と言えばすき焼きだろう。すき焼きが登場したのは明治の時代。富国強兵政策の一環として牛肉がスタミナ源として広まった。代表選手:すき焼きの普及から考えると、明治時代こそ鍋料理が広まった原点」
といった具合に様々。

 さて本論。

 コロナウイルス禍の真っただ中の2021年2月期は「7.0%の減収、17.8%の営業増益、4円増配の64円配」。そして今期も「3.8%の増収(3400億円)、0.7%の営業増益(127億円)、6円増配70円配」計画で立ち上がり、開示済みの中間期は売上高こそ1703億円弱と計画通りのペースも営業利益は「前年同期比33.8%増の80億6600万円」と既に通期計画の3分の2近くを計上している。

 前期・今期の営業利益の高水準は「宅食」の影響に起因する。例えば前期の「食肉等の小売業」セクターに顕著に見て取れる。「売上高は前年比11.8%増(241億2800万円)、セグメント利益93.2%増(19億9300万円)」と全般の利益底上げに寄与した。

 無論、オミクロン株の動向は予断を許さない。だが今期中間期の大幅営業増益の主因は「宅食」。第3四半期以降は「こてっちゃん」を軸に鍋料理が主役となる。飲食店を「フーフー」息を吹きかけ合いながら鍋をつつくのは、密になりがち。「宅食」が依然、中心になろう。平準化されていけば「食肉等の製造卸」「外食産業向け食肉等」が生きを吹き返そう。

 株価は動向をしっかり織り込んでいる。本稿作成中の時価は3000円台前半。IFIS目標平均株価は「割安」として、昨年来高値(3月)の3955円を上回る5000円。予想税引き後配当利回り1.7%強も妙味。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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