ソフトバンクグループに高まる、自社株買いの期待!

2021年9月10日 15:58

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 ソフトバンクグループ(SBG)の株価が6日(月)から大幅な上昇を続けている。3日の終値が6200円だったのに対して8日の終値は7265円だから、僅か3日間で1065円(17.2%)もの値上がりを果たした。

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 菅首相が自民党総裁選への立候補断念を表明したのが、3日正午前の自民党役員会だった。

 東京証券取引所全体の取引は、「菅首相の退陣を好感して」早速3日から大幅な上昇を見せた。2日の終値が2万8543円だったのに対して、8日のそれは3万0161円だから、ざっと4.5%の値上がりになる。

 SBGの6日の値上がりは120円だから、菅首相の退陣報道で東証全体が湧きたつのにつられて上がったような感じだ。7日に623円、8日に322円と格が違う上昇をした理由は、独テレコムと戦略提携を行い同社株式を取得するという発表があってからだ。

 SBGは長年の頭痛の種だったスプリント株の代わりに手にしていたTモバイル株を使い、独テレコムの株式を4.5%・2億2500万株を取得すると共に、約24億ドルのキャッシュを受け取ることを発表した。

 5月に2兆5000億円規模の自社株買いが終了して以降、SBGには次の自社株買いを期待する声が絶えなかった。自社株買いが終盤に近付いた4月には1万円を越えていた株価が、8月には一時6000円を割り込むところまで下落していたからだ。

 5月の決算説明会では、「株価を支えるために自社株買いをやる訳でない」と発言していたSBGの孫正義会長兼社長。だが8月には「SBGの保有時価純資産に対して、現在の時価総額は50%もの割安だから、どこかで自社株買いはやるが、タイミングや規模は日々検討している」と、発言内容を大幅に変更していることも期待感のアップにつながっている。

 孫氏は「どこかで自社株買いをする」と言っているだけで、具体的な時期を示すようなヒントは口にしていない。だが自社株買いを待ちかねるマーケットが、今回のSBGと独テレコムとの戦略提携をそのサインと受け止めたようだ。今回SBGが手にすると観測されている1兆5000億円ほどの資金が自社株買いに回れば、期間の設定次第では前回の2兆5000億円規模の自社株買いと、同程度の効果を見込むことも可能だろう。

 何しろ、保有株式の時価評価額から純負債を控除して算出される「NAV(ナブ)」が、何より重要な経営指標だと公言する孫氏にとって、SBGの時価総額が保有時価純資産の「半分」である現状が、座視できない事態であることは間違いないからだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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