断崖絶壁に身を置く石垣食品のサバイバル策は、ECか!?

2021年7月27日 17:27

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 石垣食品が正念場を迎えている。1951年に香辛料の輸入で故石垣敬義氏が立ち上げ、今年で70年目を迎える。この間「世界初の水出し麦茶パック(フジミネラル麦茶)」や「ビーフジャッキー」など多数のヒット商品を生み出してきた。インスタントラーメン用スープやカップ麺用乾燥具材の受託生産を手掛ける(今でも日清食品との付き合いが続いている)など、我々の生活に身近な分野の商品を手掛けてきた。

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 そんな石垣食品が四季報:業績欄【赤字続く】状態に陥っている。要因は2017年3月期の「売上高4億500万円、5100万円の営業損失、5400万円の最終赤字」が示す通り、売上高の激減。そして20年3月期には「4期連続営業損失、同営業活動によるキャッシュフローがマイナス」と、JQ市場の上場廃止基準に抵触。1年間の執行猶予を与えられ21年3月期は債務超過解消で上場廃止こそ免れたが、未だ「継続前提に疑義注記」企業という断崖絶壁に身を置いている。

 無論この間、策は打ち出されてきた。財務内容改善(借入金返済原資確保や運転資金等)に向け、第三者割当増資の実施を行った。投資銀行業務(フィンテック事業)を展開していたNexusBank(東証上場)を介し石垣食品の中国生産子会社が有力なコネクションがあった辛澤(現筆頭株主)に対し4億5000万円、またフードテック事業を手掛けるベジタリアと資本業務提携(同社社債1億円取得/割当増資(約3億2000万円)の資金調達である。

 記した事由が表面化した折には、株式市場も好感の姿勢を示した。が、この限りでは、石垣食品の今後は語り切れない。前期決算を確認し、興味深い事実を知った。

 総売上高28億5200万円(20年3月期比8.6%増)に占める、セクター別状況はこんな塩梅だ。

★飲料事業: 1.3%減収1億4500万円。100万円の営業損失。

★珍味事業: 1.3%減収1億9500万円。400万円の営業損失。

★ネット事業: 25.9%増収24億9900万円。2400万円の黒字転換(前々期4400万円の営業損失)。総売上高の大方を、ネット事業に委ねているのだ。

 17年10月31日に『新日本機能食品の株式取得(子会社化)に関するお知らせ』と題するリリースが発表されている。新日本機能食品は2001年創業のECを主体にした企業。「ダイエットサポート食品」「スキンケアケア商品」「育毛・ヘルケア系商品」を中心に「へるぺぁ」サイトを介し、実績を積んできた。リリースを読み直すと、「既に立ち上がっているサイトを活かし、商品販売の拡充・多様化を図りたい」とする方向がうかがえる。

 株価は大発会の100円から6月21日には218円まで買われ時価は180円出入り。上場廃止回避を評価しつつも、様子見状態と映るが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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