ゴルファー激減の中、バリューゴルフが今期大幅増益を予想する理由

2021年7月11日 07:12

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 ゴルフに「おさらば」して、かれこれ10余年が経つ。いわゆる「五十肩」が引き金だった。昔は「下手の横好き」。いまは発行されていないが「週刊ゴルフダイジェスト」で『●●●企業のゴルファー番付』なる企画で連載物を書いた時期まであった。ちなみに発刊元だったゴルフダイジェスト社はいま、ゴルフダイジェスト・オンラインとしてゴルフ場予約・ゴルフ関連の商品販売などをWebで展開する企業に衣替えしている(東証M上場)。

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 いまゴルフ会員権は「資産云々」という時代ではなくなった。が、ゴルファー自体の現状はどうなのか。日本生産性本部の「レジャー白書2020」では、減少傾向だと指摘している。1990年代には1300万人台だったゴルフ人口は、2016年には550万人水準まで落ち込み19年には多少盛り返し気味も580万人程度。

 しかしバリューゴルフ(東証M)の決算に触れ「あれ」と思った。前1月期は22.4%減収も「42.2%営業増益」、そして今期は「29.8%増収(58億円)、96.5%営業増益(1億8000万円)」計画でスタートしている。

 バリューゴルフを私は、APSサービス:1人予約ランドを運営する企業と認識していた。「平日や予定が空いた日に気軽に予約したい」「ゴルフはしたいけど仲間がいない」などのニーズを取り込む「Web予約システムを主体」とする企業だ、とである。

 ゴルファーが減ったとはいえ、潜在ニーズは相応にある・・・と決算を見て思い込んだ。前記の「ゴルファー番付」で耳にした、「定年後にゴルフが楽しめたら、自分の人生を“よかった”と考えていいと思う。そうだろう。健康でなくてはならない。楽しめるだけの金を持ち合わせていなくてはならない。ともに楽しめる仲間も必要だ。これだけ揃っていれば・・・」という話を思い出してもいた。

 だが結果として、バリューゴルフの前期実績・今期計画を正式に読み取れてはいなかった。確かに前期も「1人予約ランド」の会員数は17.9%増の73万人まで増加し、ゴルフ予約関連事業は「13.3%増、営業利益16.4%増」と絶好調だった。

 が、もう一方のトラベル(登録会員向けに自社企画した、ゴルフ主体のトラベル)事業が、足を引っ張った。新型コロナウイルス禍の影響である。ゴルフ自体は「密」を避けられるが、ゴルフ旅行となると「外出自粛」が大きな壁としてはだかった。トラベル事業は「66.4%減収、営業赤字」となった。それが前期決算の内実である。

 そして今期計画も「1人予約ランド」の好調持続に加え、「下期にはトラベル事業も回復過程入り」を前提に積算されたものだという。

 ゴルフ好きの高齢者にとっては、人生100年時代を考えるとき「足腰の衰え」を防ぎアクティブシニアへの効果大きい。ゴルファー絶対数の減も、ゴルフ好きシニアには堪能して欲しいと真摯に思う。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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