霊園・墓地の管理にも登場した、DX化の流れ

2021年6月12日 08:06

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 DX(デジタルトランスフォーメーション)、この2文字がほぼ連日のごとくメディアで踊っている。あらためるまでもないだろうが、「進化するIT技術で事業業務・生活を効率的に変革させる」という概念。銀行口座の開設から取引まで行える「インターネットバンキング」の登場など、象徴的な事例といえる。

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 不動産業界でもDX化の流れが進行している。そうした状況下で興味深い不動産管理のDX化を知った。霊園・墓地の管理・・・。(地元の)不動産業者やいわゆる「墓石」業者の仕事。だがDeepApex(ディープエイペックス)という「ITコンサルティング企業」がこの分野で業務を担う業者の効率化を図るため、クラウド霊園管理システム「hakamory(ハカモリー)」を2021年3月から展開していると知った。

 DeepApexは、創業者:市川駿氏により2020年2月に設立された出来立てほやほやの企業。アイルランド国立大学コンピューターサイエンス&ビジネス学部を卒業した市川氏は、大手ITコンサルティング企業・フィットネス動画サービス会社を経て起業。

 ハカモリーの開発の契機は、昨年9月に不動産会社を経営する厳父からの「霊園管理を効率化できるITサービスを開発できないか」という打診。霊園管理を手掛ける中での実体験から出た問い掛けだった。

 一口に霊園管理といっても「区画ごとの顧客管理」「永代使用料の請求」「霊園でのサービス・商品」etc、多岐に及ぶ。親父殿は「既存のシステムでは専用端末が必要。初期投資が高い」「アップデートには数百万円のコストがかかる」「個々の顧客データは抽出できても顧客全体の一覧はできない。印刷して一覧化する以外になく時間コストがかかる」・・・「なんとかならんか」と求めたのである。

 ハカモリーは現状で「全顧客データ抽出・一覧化」「請求業務のシステム化」「アップデートの更新料ゼロ」を実現。システムは専用サイトにIDやパスワードを入力すれば、タブレットやパソコンで容易に利用できる。

 市川氏は「課題をしらみつぶしに解決していきたい」とする。そのために小型の霊園に導入の照準を合わせ、「改善点をフィールドバックしてもらい、対応作業をすすめている」とした上で、親父殿が指折り数える「問題点・課題」を解決しうる「本格的サービスを、近々展開する」とした。

 霊園・墓地管理のDX化に目途が立ったからであろう。市川氏の口からは、こんな言葉も飛び出した。「公営墓地を運営する自治体にも展開を図っていきたい」。自治体は公共施設などの管理を手掛ける。公営墓地運営のDX化の先には・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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