コロナによる業績への影響が大きかったセクターや銘柄を見直す動き【クロージング】

2021年6月3日 16:15

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記事提供元:フィスコ


*16:15JST コロナによる業績への影響が大きかったセクターや銘柄を見直す動き【クロージング】
3日の日経平均は続伸。111.97円高の29058.11円(出来高概算10億9198万株)と4営業日ぶりに終値で29000円を回復して取引を終えた。シカゴ先物にサヤ寄せする形から利益確定売りが先行して始まったが、経済活動の正常化期待に加え、指数寄与度の大きい値がさ株などが買い直され、寄り付き後早い段階で上昇に転じた。ただ、週末に米雇用統計の発表を控えていることから積極的に仕掛ける雰囲気もなく、29000円を挟んでのもち合いが続いた。また、ファーストリテ<9983>が4%を超える下落で日経平均を132円ほど下押す形となっていることも手掛けづらくさせた。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄が1500近くに達し、全体の7割近くを占めた。セクター別では、食料品が2.15%と大きく上昇したほか、水産農林、ゴム製品、陸運、医薬品など27業種が値上がりした一方、海運、非鉄金属、証券・商品先物など6業種が小幅に下落。指数インパクトの大きいところでは、東エレク<8035>、アドバンテス<6857>、ソフトバンクG<9984>、エムスリー<2413>が堅調。半面、ファーストリテのほか、TDK<6762>、ネクソン<3659>、ヤマハ<7951>が軟調だった。

前日の米国市場では、長期金利の低下によるハイテク株が買われていたほか、政府が経済安全保障の観点から半導体産業の国内誘致を進めるため政策を総動員する方針を示したこともあって、半導体製造装置関連などのハイテク関連株の上昇が指数を押し上げる格好となった。トヨタ<7203>が連日上場来高値を更新したことがセンチメントを明るくさせている。物色の流れとしてはワクチン接種加速による経済活動の正常化への期待から、コロナによる業績への影響が大きかったセクターや銘柄を見直す動きが強まっている。

米国で3日にクオールズ米連邦準備制度理事会(FRB)副議長などの講演が予定されているほか、4日には5月の雇用統計の発表を控えている。米国のインフレ懸念に対する警戒感が拭えないことが相場の重しになっているだけに、統計結果やFRB幹部の発言内容、それを受けた米国市場の反応を見極めるまでは動けないとの見方が多く、買い一巡後は模様眺めムードの強い展開から、目先的には選別色が一段と強まりそうだ。《FA》

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