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前期利益V字回復のしまむらだが、今後に「?」が払拭できない理由
前2月期「4.0%の増収、65.4%の営業増益(380億2600万円)」。しまむらの「V字回復」は本物か。2月期の営業利益水準は、ある程度予想できた。通期営業利益計画:308億8900万円に対し、第3四半期時点で311億6100万円に達していたからだ。だが要は今後である。
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今期計画「2.3%増収、1.6%営業増益(386億4600万円)」に接し、「?」を感じた。株価も戸惑いを覚えている。4月5日の決算発表日こそ1万2980円と年初来高値を付けた。3月4日の年初来安値1万280円に比べ26%方上昇した。が、その後は「利食い待ち」の売りに、本校作成中の時価は1万1000円台入口。IFIS目標平均株価も1万1909円。算出アナリストの11人中5人が中立、2人が弱気姿勢と強気派を上回っている。
過去10年間の株価動向に、しまむらの盛衰を見て取ることができる。2012年初値:7910円から16年6月には1万6450円まで買われたが、一転じり安。20年4月には5530円まで沈んだ。時価を「戻り基調」と捉えることもできる。だがかつては「デフレの申し子」「シマラー(しまむらの衣服に身を包む女性)」「ユニクロの好ライバル」といった表現まで与えられた存在は、復権しうるのだろうか。
まず、前期の決算資料を読み込んでみた。65.4%増益の要因として、「PB、TB(タイアップブランド=サプライヤーとの共同開発品)体制の強化・再構築」「サプライヤーと連携、短期.生産サイクルの推進に伴う在庫管理の適正化に伴うコスト減」が主たる背景として指摘されている。
確かに売上高営業利益率は7%と、19年・20年の4%台からは回復している。だが11年2月期から13年2月期の9%台には及ばない。かつ今期計画を見る限り、前期比横ばいにとどまる。前記した要因効果は早々に頭打ちになってしまうのか。
アナリストの間からは、「四半期ベースで振り返ると、6-8月の特別定額給付金効果(前年同期比12.6%増収)、9-11月期のコロナの季節的収束状況と順調な天候推移(同15.6%増収)効果に乗じた結果と捉えざるをえない」とする指摘が聞かれる。収益土壌の根本的改善ではない、というわけだ。
ある外資系証券では、「真に腰を据えた対応が求められる。無借金で3417億円水準の利益剰余金を有しながら、好財務体力を活かしきれていない」とした上で、具体的にこう語った。「アパレル業界のトレンドはEC強化。EC化率2桁台は当たり前の状況。ユニクロでも今8月期中間期段階で、EC販売は前年同期比40.5%増。総売上高比率15%という状況にある。対してしまむらは前期でEC比率0.3%水準」。
残念ながら前期V字回復のしまむらだが、株価も示しているように「霧が晴れた」とは言い難いようである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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