コロナ(企業)の再々上方修正を「嬉しく感じた」理由

2021年5月3日 16:11

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 4月23日、妙に嬉しくなる「上方修正」を知った。しかも今3月期2回目の上方修正である。企業名はコロナ(東証1部)。

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 いま「コロナ」でパソコン検索などをすると画面上に現れてくる情報は、「新型コロナウイルス関連」項目が大方。(株)コロナはそうした情報に埋め込まれたかの様に、「ちょっとだけ」現れる。

 私が石油暖房機器最大手のコロナに目を引かれたのは昨年。「新型コロナウイルス禍」が世の中に蔓延し始めた時期だった。6月13日にコロナの本社所在地の地元紙:新潟日報に、小林一芳社長名で広告が打たれた。と同時に全社員及び家族向けに広告内容と同様の、子供でも読めるように全て平仮名・カタカナの手紙が送られたと知った時である。

 『もし、かぞくが、コロナではたらいているということで、キミにつらいことがあったり、なにかいやなおもいをしていたら、ほんとうにごめんなさい。かぞくも、キミも、なんにもわるくないから。わたしたちは、コロナというなまえに、じぶんたちのしごとに、ほこりをもっています』。

 付け加えるなら、私が仕事部屋として使っている部屋の窓に嵌め込む形の冷暖房機はコロナ製である。

 何ともコロナなる会社は、言葉が適切かどうかは分からないが「真面目だな」と痛感した。無論社名が災いしたわけではあるまいが、2020年3月期は、「5.4%の減収、68.4%の営業減益」と落ち込んだ。対して今期は「4.3%増収(825億円)、15.8%営業増益(6億円)」と回復基調で立ち上がった。

 それが中間期開示(10月30日)、第3四半期発表時(4月23日)と、相次いで上方修正した。現時点での通期見通しは、売上高こそ821億6000万円も「営業利益9億6000万円」。利益の上方修正をコロナでは、「12月中旬以降の寒波到来」「新型コロナ禍から、空気清浄・除菌効果を持つ多機能型加湿装置の好調」をあげている。

 18年3月期には26億3500万円を計上していたことを勘案すると、本格回復には遠い。だが四季報最新号の業績欄は【回復続く】の見出しで「22年3月期は石油暖房機器の回復続く。エアコンも在宅勤務追い風。新製品投入続き、償却や開発費重いが吸収。営業増益」とし、材料欄は【注力】の見出しで「エアコンは新ブランド立ち上げ、高機能化で上位機種に注力」と前向きな捉え方をしている。

 ちなみにコロナの社名は創業者の内田鐡衛が現東京電機大学で実験中によく見た「コロナ放電の発光色」と、油コンロの研究中に暗がりで見つめた「コンロの青い光」が似ていることに気づいたことに由来する。

 株価は900円台前半と下げ止まり感こそあるが、「動意含み」とは未だ縁遠い。無借金経営・豊富な内部留保を背景に28円配を継続。時価の予想税引き後配当利回り2.4%水準。「真面目だな」と実感した企業は、長い目で見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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