自動配送ロボットによる商品配送、21年度にも実現か

2021年3月26日 17:36

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自動配送ロボットが使用するパナソニック製の自動配送ロボット(画像: 楽天の発表資料より)

自動配送ロボットが使用するパナソニック製の自動配送ロボット(画像: 楽天の発表資料より)[写真拡大]

 政府は自動配送ロボットの公道走行を、21年度中にも認める方向で検討に入った。現行の道路交通法や道路運送車両法は、自動走行するロボットが公道を走行することを全く想定していないため、自動走行ロボットの大きさや走行速度に上限と下限を設けるなどの走行条件を詰める。

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 現場では既に、将来を見据えた自動配送ロボットの実証実験が進んでいる。実証実験で公開されている自動配送ロボットは、パナソニック製や、ロボット制作に特化したZMP(東京都)製の愛称「デリロ」だ。

 パナソニック製のサイズは全長、高さとも115cm、横幅65cmで最大積載量は30kg(買物カゴ約4個分)、最高速度は時速4kmと公表されている。デリロは全長96cm、高さ109cm、横幅66cmで最大積載量は30kg、最高速度は6kmだ。サイズと最高速度に多少の違いはあるが、最大積載量が同じであり概ね同等のスペックと見てよさそうだ。

 配送車両の時速4~6kmは低速感が強いが、人間の歩行平均スピードが4kmで、高齢者や障碍者とも横断歩道などで頻繁に行き交うことを考えると、現実的な速度と言えるのだろう。何しろ繁華街では配送物を積載したカゴを、配送担当者が押して運んでいるから馴染みのスピードと言える。肝心なのは、自動配送ロボットが関わる事故の責任を、誰が負担するのかという問題を適切に整理しておくことだ。

 以前からネットショッピングの利用は増加していたが、コロナ過の進展によりさらに大きく拡大中である。スーパーなどで購入した商品を、自宅へ運べない高齢者や障碍者等を対象にした配送サービスの利用も増加している。人手不足が深刻になっていることを考えると、多方面での活用が期待されている。

 楽天はスーパー西友や神奈川県横須賀市と連携して、23日から自動配送ロボットによる公道を利用した商品配送サービスを、期間限定で開始した。食品スーパーの商品が自動配送ロボットで、公道を走りながら利用客に届けられるのは日本初だ。ロボットに格納された商品は、利用客の暗証番号入力により開錠されて受け取れる。

 このサービスは、西友馬堀店周辺(約200m×約120m)を配送エリアと設定し、利用希望者はスマホで専用注文サイトから商品を選択するか、店頭サービスカウンターで申し込んで配送時間帯も指定する。西友のスタッフが商品をとりまとめて、自動配送ロボットに格納して施錠する。配送先に到着すると、ロボットからスマホに通知が届く。支払には「楽天ペイ」が使われる。

 現在人力で行われている配送サービス同様、対象商品は生鮮食品や冷蔵・冷凍商品を除く日用品、飲料や米、菓子などの常温商品を中心に、約400の品目になる。受付が10時から15時30分で、配送(店舗発)は11時から1時間毎に16時までの計6回行われる。実証実験は4月22日までの火曜日と木曜日、延べ10日間に渡って行われ、今回手数料は無料だ。

 導入された自動配送ロボットはパナソニック製で、4台のカメラと1台のドライブレコーダーが搭載されており、カメラで人や車などの障害物を察知する。同時に5km程離れた地点で遠隔監視が実施され、不測の事態には即時に遠隔操作に切り替えとなる。また実証実験というサービスの性格上、保守要員が随行して徹底した安全対策が行われている。

 日本郵便は20年10月、東京逓信病院内のコンビニから700m離れた麹町郵便局まで、公道を使った実証実験を行った。使用されたのはZMPのデリロで、安全性を確認しながら3年以内の実用化を目指すとしていたが、政府の動きが具体的になってきたことから早まる可能性もある。

 ヤマトホールディングス(HD)や佐川急便などの物流大手も、同様のスタンスで取り組みを始めている上に、米フェデックスも21年には日本でのロボット配送事業の実証実験を始める方針だ。自動配送ロボットが、俄かに注目を集めることになりそうだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

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