収益性が高くても失敗? 不動産投資で重要な修繕リスクとは

2020年12月23日 08:41

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■不動産投資の基礎

 昨今、老後の資産形成を目的に不動産投資を始める人が増加している。特に30~40代のように比較的若い労働者が、好条件のローンを組めるようになったことも関係しているだろう。

【こちらも】不動産投資で注意したい移転リスクとは?

 一般的に資産形成は老後不安を解消するために、長い年数をかけて着実に資産を築いていくことが多い。そのため、少しでも収益性の高い不動産を保有することが長期的な目線で考えても重要だろう。

 しかし、収益性が高い不動産を運用していたとしても、収益以上の損失が出る場合もある。収益だけに目線を捉われてしまった結果、意外と見逃してしまうものが修繕リスクだ。

■修繕リスクとは

 修繕リスクとは文字通り、不動産を保有するにあたって生じる修繕に関するリスクである。ご存知の通り、不動産は年数が経過するにつれて少しずつ老朽化していく。老朽化に伴う修繕には主に原状回復や設備交換、大規模修繕が挙げられる。それぞれの特徴を紹介したい。

(1)原状回復
 原状回復は入退去の度に費用が発生し、クロスの張替えやハウスクリーニングなど室内の修繕を指す。オーナーがどの範囲まで負担するのかという点は管理会社などによって変わってくるため、詳細な負担範囲は確認しておきたい。

(2)設備交換
 不動産に付帯する設備の交換に伴う費用も一般的にはオーナーの負担になる場合が多いといわれている。設備とは主にエアコンや給湯器などを指す場合が多い。設備交換のスパンは一般的に数年から10年前後でやってくると考えておくとよいだろう。

(3)大規模修繕
 大規模修繕は主に建物の外観部分に生じるもので、外壁修理や塗装、防水・消防設備工事などが挙げられる。一般的に10年~15年に1度のペースでかかってくると考えておきたい。

 大規模修繕費は保有する不動産の規模によって変わってくる。一般的に1室の区分マンションよりも1棟アパートの方が高くなり、数十万円から数百万円が必要になる場合が多いことも押さえておこう。

■運用計画は綿密に

 収益性の高い不動産は規模の大きい1棟マンションやアパートが多い。規模が大きい分、修繕にかかる費用も高額になるため、生み出した収益を積み立てることがより重要だ。

 なお、本記事では修繕リスクという言葉を用いているが、修繕費を積み立てておくことでそのリスクを限りなく低くすることも可能だ。

 堅実な不動産投資を実現するためにも、綿密な運用計画を立てることを第1に考えておきたい。(記事:大掛翔太・記事一覧を見る

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