三菱総研、DX推進支援など社会課題解決により成長を目指す

2020年12月22日 08:10

印刷

 三菱総合研究所は15日、ベトナムとUAEで拠点を開設すると発表した。三菱総研は中期経営計画で海外事業を成長分野と位置付け、RCEP協定の発効により今後成長が見込めるベトナムに駐在員事務所、石油資源輸出からの脱却を目指し構造改革の動きを加速しているUAEに支店を設置する。

【こちらも】三菱倉庫、顧客起点の重点分野サポート体制確立と海外事業拡大で成長に挑む

 この拠点設置により、現地での政策立案支援業務と日本企業への現地進出支援業務を推進していく。

 三菱総研は調査・分析業務、委託調査・コンサルティング業務、情報サービスなどを目的として、1970年に三菱創業100周年を記念し設立された。80年代にシンクタンクとして事業確立、90年代に官公庁市場で強みを構築し、ITソリューション事業へ拡大した。

 2009年に東京証券取引所第2部に上場、2010年に第1部へ指定変更となった。

 2020年9月期の売上高は920億円。事業別の構成比は、シンクタンク・コンサルティング事業(以下TTC)が37.6%、ICTソリューションサービス全般を提供するITサービス事業(以下ITS)が62.4%を占める三菱総研の動きを見ていこう。

■前期(2020年9月期)実績と今期見通し

 前期売上高は920億円(前年比2.2%増)、経常利益は前年よりも27億円増の84億円(同46.7%増)であった。

 経常利益増加の要因としては、官公庁、金融向け案件などの事業成長により6億円、持分法投資利益が13億円増えてTTCが19億円の増益、カード分野などの伸長でITSが8億円の増益であった。

 今期は売上高970億円(同5.4%増)、経常利益は75億円(同10.6%減)を見込んでいる。

■中期経営計画(2021年9月期~2023年9月期)による推進戦略

 ポストコロナの社会変革を先駆ける社会課題解決企業として、2023年に経常利益100億円(対前期比19.3%増)を目指して次の戦略を推進する。

●1. 成長事業への先行投資、パートナーとの連携強化

 ・成長ドライバーとしてグループの情報サービス3社、三菱総研DCS社、アイネス社、JBS社と協業で、顧客のDX推進支援。

 ・地域仮想通貨を提供し、従量課金制にするなど利用度合いに応じて課金するストック型事業の育成。

 ・日本でのノウハウ、経験を生かしてベトナム、UAEなど海外事業へ進出。

●2. 基盤事業のポートフォリオ展開、品質、生産性向上

 ・社会課題解決のために、「A研究・提言」「B分析・構想」「C設計・実証」「D社会実装」の4つの提供価値を連接して提供。特にAとDに人財、資金、パートナーを重点投資し、シンクタンク事業の強化。

 ・人財、風土など社員の活躍環境を充実し、事業戦略推進の仕組み、システム強化。

 コロナ禍と利害対立の激化により社会が混迷する現代社会で、三菱総研の社会課題解決力に期待したい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事