日産・ノート、フルモデルチェンジ 日産の運命を左右する車種 注目点はバッテリー (2)

2020年12月2日 08:32

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新型ノートの発表。(画像: 日産自動車の発表資料より)

新型ノートの発表。(画像: 日産自動車の発表資料より)[写真拡大]

 また、EVのアリアやe-POWERのノート最大の弱点は、「最大の特徴でもあるバッテリーのエネルギー集積率が極端に低い」ことである。この問題は、全固体電池などが実用化されないと解決は難しい。

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 しかし、e-POWERでは外部から充電することが必要なくガソリンスタンドで給油すれば良いため、EVのように「急速充電80%程度でも1時間ほどかかるバッテリーの充電時間」の不便はない。発電エンジンの騒音が気にならないのなら、e-POWERの最大の良さは、EVのような低速での使いやすさでありながら充電の心配のないところであろう。むろん、低速での加速性能はスポーツカー並みである。

 同じハイブリッドのトヨタ方式やホンダ方式では、高速域でエンジン直接駆動に切り替わるため、これまでのエンジン車とスピードは同等で、燃費は良くなる。また、EVで同等にするにはバッテリーを多く積み込めば良いのだが、そうすると車重が重すぎてしまう。EVでは、バッテリーのエネルギー集積率がガソリンに近付かないと車重で大きなハンディとなってしまうのだ。現在のところ、実際の最高航続距離300kmぐらいのEVでもガソリン車に比べて200kg程度重くなってしまう。

 さらに、EVでは価格が高く、このままでは普及が難しい。だが、e-POWERのノートなら205万円からで、軽四輪大衆車と同等である。EVの乗り味で不便がほとんどなく、この値段であれば日産の稼ぎ頭に復帰できる可能性が大きい。

 12月23日に発売される新型ノートでは、どの程度のバッテリーを積んでくるのかが実用性のカギとなる。その点について、発電用エンジンパワーは1.2リッター直3ガソリンエンジンで最高出力82PS、最大トルクは103N・m、モーター出力は「トルクを10%、出力を6%向上」と発表されているので期待が持てる。WLTC燃費モードは、29.5km/リッターである。

 e-POWERは確実に強化され、約5km/hでのクリープ現象を再現して駐車時などに便利なAT車の操作感を出しているなど、細かい使い勝手の向上がなされている。また、発電用エンジンの駆動音がうるさいとEV走行感を損なうため、エンジンをかける状況を自動的に判断している気の使いようだ。2021年発売予定のEV・アリアと共に、これからの日産を背負う存在となろう。運転支援システム「プロパイロット」も確実に進歩させて搭載してきている。

 筆者が懸念する材料はもう1つ、ハンドリングについてである。最近の日本車におけるハンドリングの進歩は目を見張るものがあり、特にトヨタは、WRC(世界ラリー選手権)参戦の成果を見せつけるようにハンドリングを確実なものとしてきた。それに比較して日産車の走行性能は進歩が感じられなかったのだが、そこはGT-Rを持つ日産の得意分野であるはずだから、新型ノートでは1段の進歩を期待したい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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