世界の半導体市場を支える、「日ノ丸」半導体部材企業

2020年11月27日 18:29

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 厳しい収益動向下にあって、半導体関連企業に「順調・好調」組が見て取れる。そうした現状もあり『日ノ丸半導体の逆襲はなるのか』と言った類のタイトルを、複数のメディアで目にする。

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 だが結論から急げば、二昔いや三昔前のように半導体売上高で日立・東芝・NECが上位にランキングされる時代はまず考えづらい。米国の調査会社:ICinsights(半導体関連業界の調査・分析に実績)によると、今年上半期の半導体売上高ランキングは1位:インテル(米国)から10位:ハイシリコン(中国)まで「米国6社」「韓国2社」「台湾1社」「中国1社」で占められている。日ノ丸企業の姿は全く見受けられない。

 業界のアナリストも、「現状では日本メーカーが売り上げで上位に名を出すことは考えられない」と口を揃える。では前記のように半導体関連企業に「順調・好調」組が多いのは何故なのか。アナリスト達は「半導体の製造に際し、部品などで日本企業が必須不可欠な部分を握っているからだ」と、やはり異口同音。

 例えば、東洋合成工業。フォトレジスト用感光材(特定の機能を持つ感光性樹脂)で世界トップ(商品:ポジ型感光材、ネガ型感光材)。また次世代技術として注目されている半導体製造装置に、「EUV(極端紫外線)露光装置」(オランダASML社が開発)がある。この新装置用のフォトレジスト向け感光性材料でも高いシェアを有している。「23年3月期の売上高300億円超を視野に入れている」とするが、「サムスン電子(韓国)など、世界大手も確保を急ぐ注目製品」(アナリスト)という代物。

 そんな東洋合成工業の前3月期は「6.4%の増収、40.1%の営業増益、58.2%の最終増益」。今期計画は高くなった下駄やコロナウイルス禍による不透明な世界経済状況を勘案し、「2.2%増収(250億円)、17.6%営業減益(18億円)、40.6%最終減益(11億円)」計画で立ち上がったが、開示済みの4-6月期ではそれぞれ「128億3500万円、13億600万円、8億6500万円」と、想定を優に上回る進捗率を示している。株価もそれを反映し3月13日こそ2560円まで水準を下げたが、11月6日には1万1280円まで買い進まれている。

 太陽ホールディングスなども「順調・好調」組の1社。祖業は印刷用インクメーカー。70年代に、プリント配線板の表面を覆って回路パターンを保護する絶縁膜(ソルダーレジスト)製造に業容を転換。現状で世界シェア6割を誇っている。11月6日に通期計画を上方修正。過去最高益更新予想。株価も3月17日の3225円に対し11月10日には5900円へ。IFIS目標平均株価は6733円と一段高予想。

 世界の半導体市場は、日本の関連企業によって支えられていると見るが・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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