「投資の日」に「貯蓄の日」、10月は金融に関して考える月に

2020年10月4日 08:27

印刷

 1996年、日本証券業協会は、10月4日を(とうし)の語呂合わせから、「証券投資の日」と定めた。広く証券投資に興味を持ってもらう意図から記念日を制定し、毎年10月4日前後は投資にまつわるイベントなどを開催している。なお、2020年は新型コロナウイルスの影響などもあり、例年のようなイベント開催は行っていない。

【こちらも】株主優待が廃止されたら次にやるべきこと 今後の対策は?

 また10月17日は「貯蓄の日」とされており、これは1952年に日本銀行が定めた記念日である。10月17日は、伊勢神宮で神嘗祭が執り行われており、五穀豊穣を祈り、その年に収穫された穀物などに感謝を捧げる。このことから由来し、無駄遣いをせずにお金を大切に遣おう、という意味が込められているという。

 偶然とはいえ、10月はお金に関する記念日が重なっている。

 大和証券グループが100%出資する大和ネクスト銀行では、ネットエイジアの協力により、2020年9月に「貯蓄と投資に関する調査」を実施した。20歳から69歳の男女、1000名の有効サンプルの集計結果を公表している。

 まず注目したいのは「預貯金がない」と答えた人が全体の14%にものぼる点である。なお、このリサーチによる預貯金とは、タンス貯金、外貨預金なども含むと定義している。

 サンプルの年齢層を考えると、一般的にはなんらかの収入を得ている時期であると推測される。同時に、教育費や住宅ローンなどの負担も大きい時期であることから、意図せず貯蓄が進まない家計もあるのではないだろうか。

 一方、100万円未満の預貯金があると答えたのは26%である。また、500万円以上の預貯金を保有しているのは全体の27%であるという結果が公表されている。預貯金が500万円以上あると答えた人の内、半数近くが60代の男女である。年代的な要因として、退職金や年金受給開始、親からの相続なども推測される。

 投資に関する調査結果では、預貯金以外の金融資産を保有していないとする人が約48%であった。半数近い人が投資による資産形成を行っていないということになる。なお、主な金融資産には、株式、債券、投資信託、個人年金、積み立て型生命保険を含むとしている。

 なんらかの投資による資産形成を行っている人の内、最も多い方法は株式投資で34.2%であった。僅差で2位となったのは投資信託(31.5%)、次いで個人年金保険(23.4%)である。

 これらの調査結果から、何を感じ取るかは人それぞれではある。貯蓄がない人が全体の14%であるということも、多いと感じるか少ないと感じるか。自身と比べてどうであるか。投資方法においては株式投資が最も選ばれているが、自身の投資スタイルではどうなのか。

 投資や貯蓄は、継続が要である。続けることばかりに目が行き、現状把握や先の見通しを立てる暇がない場合もあるだろう。しかし、時には立ち止まり考えてみることも大事ではないだろうか。投資の日、貯蓄の日、これらをきっかけに立ち止まって周りを見渡してみるのも良いかもしれない。(記事:大野 翠・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事