菅首相誕生! 菅銘柄とその落とし穴

2020年9月20日 07:18

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 9月16日に行われた首相指名選挙で、自由民主党の菅義偉総裁(71)が第99代内閣総理大臣に指名されたが、菅首相誕生による株価への影響、いわゆる菅銘柄にはどのようなものがあるか、確認していきたい。

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 菅首相といえば、ふるさと納税の創設だ。そんなふるさと納税の返礼品となる地域商品券を手掛けているのがギフティ(4449)であり、すでに株高の様相を呈している。また、デジタル庁創設に関連し、企業公共団体向けITサービスを手掛けるチェンジ(3962)やITbookホールディングス(1447)も注目を集める。

 そして、菅首相が推進するであろう携帯電話料金引き下げについては、大手携帯電話会社のNTTドコモ(9437)、KDDI(9433)、ソフトバンク(9434)にとってはネガティブ要因となる一方、中古モバイル機器を提供する日本テレホン(9425)や、b-mobileブランドで格安スマホを提供する日本通信(9424)にはポジティブ要因となりうる。

 また、初の首相誕生となった生誕地の秋田関連銘柄として、地元金融機関の秋田銀行(8343)、フィデアホールディングス(8713)、電気工事のユアテック(1934)、建築関係のスパンクリートコーポレーション(5277)、第一建設工業(1799)などが挙げられるが、菅首相は既得権益打破を掲げていることから、お膝元が優遇されるとも限らない。

 特に各地銀は、菅首相の元、再編が推進される可能性が高いため、東北地方の地銀であっても安心とはいかないだろう。むしろ、地銀と連携して「第4のメガバンク構想」を掲げるSBIホールディングス(8473)に注目すべきではなかろうか。

 その他、東京都が加わったことで今後も推進が進むと考えられるGotoトラベル関連株には注目したい。格安航空券のエアトリ(6191)、格安旅行やツアーの検索サイト「トラベルコ」運営元のオープンドア(3926)、地方の行政情報誌の発行や旅行・特産品の販売を手掛けるサイネックス(2376)、そして、昨今停滞気味な統合型リゾート(IR)関連銘柄も注目を集めそうだ。

 このように、数々の菅首相関連銘柄は存在するが、実のところ投資家が俄然注目しているのが11月に控えるアメリカ大統領選の行方だ。トランプ大統領が再選できるか否かによって、アメリカ市場だけではなく世界の株式市場が大きく変動することが予想される。残り1年余りの任期を残すのみとなっている菅首相関連銘柄へ過剰に期待するのではなく、アメリカ大統領選の結果を待って、冷静な投資判断をされたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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