天才、藤井聡太2冠のAIの使い方(1) 「AIの結論を自分なりに考えて解釈していく」

2020年8月31日 13:37

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 『「天才」とはいかなる存在なのか?』圧倒的強さで王位を奪取した藤井聡太2冠の姿は、柔和で謙遜に満ちた表情でいて、一方「人間の本質」を考えさせるに強烈な光を放っていた。アインシュタインがどうして相対性理論を思いついたのか?数学と言う宇宙の共通語を理解できる能力がいったいどのようなものなのか?を考えさせられる。

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 将棋の第61期王位戦7番勝負で、藤井聡太棋聖(18)が木村一基王位(47)に挑戦し、4連勝で王位を奪取した。第4局の対局は、2020年8月19日から20日にかけて福岡市の大濠公園能楽堂で行われた。後手の藤井棋聖が80手で木村王位を投了に追い込んだ。4連勝での藤井棋聖の強さが際立つ王位の獲得だった。

 このところのコロナ禍で対戦が激減していた藤井2冠は、AIを使って研究を進めていたようで、そのための高性能パソコンを自分で組み立てるそうだ。そのAIの使い方に「天才」の本領が見て取れる。「AIの出した結論を自分なりに考えて解釈していく」とのコメントがあるようだが、これがAIの使い方として王道であろう。

 「天才」と言われる人達は、順序を追って考察して結論に達している訳でもなく、「直感」とでも言うべき「結論ありき」の論理展開をする。例えば、相対性理論で有名なアインシュタインは、思いついた結論を数学者が論理づけていく過程を踏んでいる。「さかさま」とも言える手順だが、「直感」があるから天才なのであろう。「AIの出した結論を自分なりに考えて解釈していく」とする藤井2冠のAIの使い方も、また天才と考えさせるに十分なコメントだ。

 だが、1人1人の人間の能力にさほどの格差は生じていないと思われる。誰しも得意とする分野と苦手な分野が存在し、トータルすると同じようなものなのだ。そのため「天才」と言われる人々には、とびぬけた能力の部分と、極端に能力が劣る部分が生じているのが通常だ。アインシュタインの場合は、給料と生活の関係性が分からず、奥さんが苦労したと聞く。

 逆に、「脳機能障害」と言われるほどではなくても、論理思考で「関係性が繋がらない」人たちを多く見かける。東大を首席で卒業し、高級官僚として生活しながら、相似形が分からずに他人の立場や苦しみが感じられない人物も存在している。「サイコパス」と言われる人物にはそれが多く、脳機能の偏りが存在していると思われる。研究者によって尺度はまちまちだが、おおよそ全人口の1%~25%が脳機能に大きな偏りを持っていると言われている。

 それは、精神科医をはじめ、医師、弁護士、判事、税理士、SE、経営者、営業マン、研究者など多くの専門家と言われる人々に接してきてみると、物事の理解に大きな偏りを持っている人物がかなりの確率でいることで分かってくる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは: 天才、藤井聡太2冠のAIの使い方 (2) XAIで「メカニズムとして理解する」

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