新型コロナ感染拡大防止策が、営業時間短縮か? 教訓を活かすことが知事の役割だ!

2020年8月1日 16:55

印刷

 世界で新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが掛からない。日本でも7月29日には確認された感染者が初めて1日で1000人を超えた。東京都、大阪府、愛知県、福岡県と、3桁を超えた都府県も続出。この日は特に、これまで国内で唯一感染者が確認されていなかった岩手県で2人の感染者が確認され、全国的な感染拡大を印象付けることとなった。

【こちらも】新型コロナウイルスの動向を、感染者数で論じるのは正しいのか?

 緊急事態宣言や休業要請が劇薬であることは学習した筈だ。効き目はある。確かに多くの人がステイホームに徹すると、感染症の拡大に大きなブレーキが掛かることは確かだ。問題は経済活動が極限まで縮小することである。

 航空輸送、公共交通機関、デパート、旅行業者、飲食業等々、業種を挙げていくとキリがないほどの各種事業者が、塗炭の苦しみを味わった。政府や行政も経済活動の持続力を担保するために、多分のアピール効果も狙って普段は考えられないような大盤振る舞いを行った。

 個々の政策の可否を声高に語る向きもあるが、世界を巻き込んだ感染症の拡大に試行錯誤で対応する以上、冷静になってから文句を付けても生産的でないことは言うまでもない。

 新型コロナウイルスの第1波に対して発動した緊急事態宣言と休業要請が、再三使える手でないことは学習した筈だと思っていたら、大阪府と大阪市は絞り込んだ繁華街に対して、営業時間の短縮を要請し、応じた施設に対して市と府が1日1万円をそれぞれ支給、国に対しても同様の対応を求めているようだ。

 東京都も飲食店などに時短営業の要請をする。営業時間を午前5時から午後10時までと設定するから初期のコンビニのようだ。期間は8月3日から同31日までに設定し、時間短縮に応じた中小事業者には20万円の協力金を支給すると言う。

 見返りがないままで営業時間の短縮を要請することに後ろめたさがあるのだろうが、大阪府や東京都が検討している営業時間短縮と協力金の支払いに何の意味があるのだろう。既に疲弊しきった事業者に営業時間の短縮を要請するのは余りに酷だろう。

 もちろん、財政が窮屈な地方自治体に「もっと出せ」と言っている訳ではない。営業時間短縮以外に選択肢はないのか、さらに知恵を絞って欲しいだけだ。

 新型コロナウイルスの厄介な点は、感染しても症状が出るとは限らない上に、人にうつす可能性があることだ。見えない敵に対してできることは、マスクを着用して、手洗いうがいを励行し、3密を避けることを徹底するすることだと言われている。

 感染しても重症化する例はあまり多くないことが見極められて来た。この上は、重症化を引き起こす持病のある人や高齢者の感染をどうやって防止するか、という各論を極める時期に行き着いたと感じられる。感染者数に一喜一憂している様では、新型コロナウイルスの思う壺だろう。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事