ロエベ 2021年春夏メンズコレクション - 工芸品とリアルクローズの狭間

2020年7月28日 20:53

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記事提供元:ファッションプレス

 ロエベ(LOEWE)は、2021年春夏メンズコレクションを、“Show in a box”という形式で発表した。“Show in a box”とは、組み立て式のルックや、コレクションで使用されているファブリック、そしてショー会場のセッティングを立体的に表現する本などが収められたアーカイブ・ボックス。ジョナサン・アンダーソンが、ひとつの箱の中で完結する“次世代ファッションショー”として考案した。

■今季のロエベは“持ち運べるファッションショー”

 インスピレーションは、フランスの美術家であるマルセル・デュシャンの発明した携帯可能なミュージアム“Museum in a box”だった。ジョナサンは、その画期的なポータブルボックスに倣い、“Show in a box”でファッションショーで再現するとともに、中に収められたコンテンツに纏わる映像を24時間にわたって配信した。

■曲線やループが作り出す“工芸的な服”

 誰もがデジタルを通してショーを楽しめる、今季のロエベは、曲線やスウィング、ループといった要素を交えて、まるで抽象的な彫刻を想起させる造形美を構築した。ラペル位置に円を配したコート、風船のように膨れた袖のトップスなど“服”の概念を超越した斬新な表現が絶えない。

■“クラフト”を強調する技法

 しかし、そんな中でもどこか懐かしさや温かみを感じるのがロエベの服。まるで籠のようなトップスは、まさに籠の編み方と同じ要領で作られたという。長きに渡って受け継がれてきた編みの技法を駆使した1着は、ロエベが受け継いできたクラフトの精神が感じられる。今季を象徴するアイテムとも言えるだろう。

 日本の伝統文化も、今季はロエベのクラフト感を演出する上で取り入れた。その技法は絞り。布の一部を縛って圧力をかけることで、模様を作り出す伝統的技法も、カーブを生み出し、有機的な形状が集う今季のコレクションで一躍を担う。

※本記事はファッションプレスニュースから配信されたものです。ファッションプレスでは、ブランド、デザイナー情報、歴史などファッション業界の情報をお届けしています。

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