大学の学部選びと保護者のキャリア観

2020年6月9日 14:25

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出所:厚生労働省報道資料(平成31年3月大学等卒業者の就職状況)

出所:厚生労働省報道資料(平成31年3月大学等卒業者の就職状況)[写真拡大]

 過去10年間、概ね文系より理系学部のほうが、内定率は良い傾向がありました。文部科学省の将来戦略を見ると、やはり理系の特定分野を中心に高度人材を育成するシナリオが見られます。これをトレンドととらえて学部選択をするのも一つの方法ですので、詳しく見てみましょう。

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■文系より理系のほうが就職率が良い

 筆者は以前に大学の職員として勤務をしていました。そのときの経験から、「就職に有利なのは文系か理系か」といった点に保護者の関心が高いと感じていました。

 グラフ①は、過去10年の大学生の就職率を文系と理系別に表したものです。2018年3月卒業生を例外として、他は理系学生のほうが、就職率は良い傾向が見られます。

■選択を間違わないことなどない

 大学生の就職率が文系よりも理系が良いとは言っても、両者の差はほんの僅かです。それよりも、保護者の関心が高くなる理由についてはどのように解釈すれば良いでしょうか。

 わが国にはいまだに根強く新卒一括採用の慣習が残っており、極端に述べると、社会人としての未来はただ1度の就職機会によってほぼ決定される、という問題があります。子の心配をしない親などいないので、ただ1度の社会移行機会である就職活動期に子供を失敗させたくない、という愛情が伺えます。

 しかし現実には、選択を間違わない保証などはありません。運よく大手企業に就職できても、倒産、統廃合が起こらないとも限りませんし、新しい技術のために職場が無くなるケースも考えられます。単純労働の派遣社員化により、銀行の窓口業務や会社の一般事務職などは、今やほとんどが契約社員や派遣社員に置き換わっています。

■保護者世代のキャリア観と学生のキャリア観

 保護者世代は大学を卒業すると、文系なら銀行か商社、理系ならメーカーが人気企業の常連でした。こうした企業に就職できれば、男性なら子の教育費が負担になってくる40歳代には1,000万円前後の収入が見込めたため、女性は専業主婦となっても生活レベルは概ね中流を維持できました。ところが現代の世代は、夫婦ふたりで正規雇用として働かないと1,000万円の収入は期待できない世帯が増えています。

 この世代間ギャップは、そのままキャリア観のギャップとして存在します。今日ではさすがに少なくなりましたが、女子の就労に反対する親や結婚や出産と同時に退職を迫る親が1世代前はたくさんいました。これからは、男性も女性も環境変化に対応しながら、シニアになるまでキャリアを積んでいく社会人生活が好ましいものとなります。

■学部選びについて

 少し横道に反れましたが、学部選びについて考えます。偏差値重視や、試験日程で選ぶ人も多いでしょうが、敢えて本来の目的である教育面から考えます。

 もちろん、本人の志望を優先しなければなりませんが、その本人が決めかねているようなときには、保護者のアドバイスは重要となってくるでしょう。

 ご参考として、政府の未来戦略にフォーカスした学部選定も考えられます。例えば、「マテリアル革新力強化」です。これは今月になり、文部科学省でとりまとめられたわが国の将来戦略です。
(参照)
 マテリアル革新力強化のための政府戦略に向けて
 https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200602002/20200602002.html

 これによりますと、金属、化学、電子部品、バイオ、AIなど、今後の国家的戦略分野が列挙されています。すなわち、こうした分野が将来人的ニーズ増加につながることになりますので、それらを学習することができる学部を選択する、という方法も考えられます。

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