KDDIは”買い”か 2020年3月期決算を分析する

2020年5月21日 08:17

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■コロナ禍でも増収増益を達成!

 KDDIは14日、2020年3月期決算を発表した。連結売上高は5兆2372億円(前期比3.1%増)、連結営業利益は1兆252億円(同1.1%増)と、増収増益の決算となった。新型コロナウイルスの感染拡大による影響を受け、多くの企業の業績が落ち込む中、通信株のディフェンシブ性とその強さを見せつけた。

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 2020年3月期決算の最大の焦点は、19年10月に施行された改正電気通信事業法の影響だ。政府からの通信料金値下げ要請によって同法が施行され、通信料金と携帯端末のセット販売が制限されることになった。スマートフォンの値引きが制限されることで、端末販売の減少による減収幅がどれくらいになるか投資家から不安視されていた。

 しかしKDDIは同法の影響もあって端末販売は減少したものの、”非通信事業”の成長によって端末販売の減少分を補った。

■”非通信事業”の成長でユーザーを囲い込む

 KDDIが目指す戦略は、グループID(auやUQモバイルなど)とエンゲージメントを通して、総合ARPU(1ユーザーあたり売上高)の最大化を図る、というものだ。特に今期はエンゲージメント、ユーザーとの信頼を重視していくという。エンゲージメントの向上により、KDDIグループ全体の利用頻度が上がり、解約率は低下、グループIDと総合ARPU向上につなげていきたいとしている。

 KDDIが展開する事業は幅広い。通信サービスを”入口”として「au PAY」や「auじぶん銀行」などの決済、金融サービスや、映像・音楽・書籍などを提供する「auスマートパスプレミアム」に加え、データ容量の上限なく利用できる新料金プラン「auデータMAXプラン Netflixパック」の提供もスタートした。これら”非通信事業”の成長によってユーザーを囲い込み、長期利用を促すのが狙いだ。

■KDDIは今後も”買い”

 これら”非通信事業”と本業である”通信事業”を合わせたKDDIの「総合戦闘力」は非常に高い。今期も増収増益を見込んでおり、配当金も19年連続増配を予定している。株主優待も充実しており、KDDIの総合利回り(配当利回り+株主優待分)は4%を超える。

 また株主優待は同社株式の保有株数と保有年数によってグレードアップされる。保有年数が5年以上で1000株以上保有していれば1万円分の株主優待を得ることが可能だ。その場合の総合利回りは7%に迫る。株主還元という点でKDDIは国内有数の企業である。

 また株価は未だに割安圏内だ。予想PER(株価収益率)は5月20日時点で約11倍となっており、日経平均株価の平均PER約14倍を下回る。微増ながら成長を続けていることからも、株価上昇の余地はこれからもあるだろう。

 以上の観点からKDDIは今後も”買い”推奨だ。”非通信事業”の更なる成長がKDDIの株価上昇のカギを握るため、今後も同社の動向を注視していきたいところだ。

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