5年先まで使える広告代理店的プレゼンテーション術 (32)

2020年5月8日 09:05

印刷

 前回に引き続き、若手コピーライターのために【ボディコピーの書き方_中篇】をお届けします。今日は「文章のクオリティーの上げ方」について話していきたいと思います。他業種のナレッジワーカーの方にも有用な情報です。

■(34)常識や丁寧というムダを省き、文頭から機能する文章で、読ませる確度を上げる。

●既知情報や大前提をわざわざ確認するなど言葉のムダがないか、推敲する。

 丁寧に書こうとするあまり、与件の繰り返しや常識的事象、既に知っている情報などを導入からたっぷり書く人がいます。こういった「大前提を確認する文章」は読み手にとっては退屈を極め、且つ情報として無価値です。

 推敲時に駄文を削除し、「答え」「提案」を早い段階で提示すること。読み手の納得感を早めに獲得することで、最後まで一気に読んでもらうのです。

●250字以内に収めることで、読ませる確率を高める。

 私の場合、まず大体400字程度書いた後、300字に短縮します。最終的には250字以内を目指し、1つの論旨をギリギリまで要略していきます。文量を減らせば、読んでもらえる確率が高まるからです。

 また、限界まで短くすることで、「もう1つ有用な情報」を入れる余白が生まれます。読み手の納得度をさらに高めるために新しい情報を作る貪欲さを持ってください。

 注意点は、情報を足すことを理由に論旨を2つに増やさないこと。飽くまでも、論旨・モノサシは1つです。これらを徹底的に意識し実行していけば、必ず文章のクオリティーは上がっていきます。

 情報価値を意識した短文構成。このような情報の精緻化と整理は「この考え(情報)を知って欲しい!理解してほしい!」という気持ちの表れです。この気持ちを地道な作業に変換し、機能的な文章を作成できるか。プロの1つの技術として問われます。

 次回、後篇に続きます。

著者プロフィール

小林 孝悦

小林 孝悦 コピーライター/クリエイティブディレクター

東京生まれ。東京コピーライターズクラブ会員。2017年、博報堂を退社し、(株)コピーのコバヤシを設立。東京コピーライターズクラブ新人賞、広告電通賞、日経広告賞、コードアワード、日本新聞協会賞、カンヌライオンズ、D&AD、ロンドン国際広告祭、New York Festivals、The One Show、アドフェストなど多数受賞。日本大学藝術学部映画学科卒業。好きな映画は、ガス・ヴァン・サント監督の「Elephant」。
http://www.copykoba.tokyo/

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