個人投資家の7割、年初来で損失に 平均25%減 コロナ終息局面では売り手に回るか

2020年5月1日 19:03

印刷

 23日、野村アセットマネジメントが「新型コロナウイルス感染拡大に対する投資家意識調査」の結果を公表した。調査の時期は2020年3月25~26日で、5,322名の個人投資家から回答を得ている。

【こちらも】3月にプラスだったヘッジファンド型投信は5本 自動運用の裁定取引ファンドに注目

 年初来では個人投資家の72%が損失を抱えており、損失額の平均は25%減だった。感染拡大時には買い手が優勢だったが、終息後はシニア層が売り手に回りそうだ。

■コロナ感染拡大時では買い優勢

 新型コロナウイルスの感染拡大に対する行動では、一括投資全体では26%が「追加投資(含む検討)」と回答し、「売却(含む検討)」の11%を上回った。「現状維持」、「どうしていいのか分からない」の合計は36%であった。

 積立投資では「積立継続」が33%、「新規一括投資」が16%で、「どうしていいのか分からない」は21%だった。一方、「積立中止」は14%であった。

 相場の下落局面では買いを検討する個人投資家が多い一方、明確な投資行動を取れない層も相当いるようだ。

■積立投資勢の損失は限定

 年初来の下落幅の平均は全体で25%減であった。「一括投資」が同じく25%減、「株式投資」「一般NISA」ではそれぞれ26%減となった。

 一方、「積立投資」「DC制度」では22%減、「つみたてNISA」は19%減となった。年初から約3カ月しか経っていないものの、「投資時期の分散」の効果があったようだ。

■今後は資金力あるシニア層で売りの傾向

 一括投資に対する今後の方針(買いー売り)
 ・全体(22%ー18%)
 ・20~30代(29%ー19%)
 ・40~50代(26%ー16%)
 ・60代以上 (16%ー21%)
 ※買い:「追加/新規投資をする」と「積立投資(新規あるいは増額)する」の合計
 売り:「相場状況に関わらず全部あるいは一部を売却」と「相場が戻れば全部あるいは一部を売却」の合計

 「一括投資に対する今後の方針」では、全体では「買い」が22%、「売り」が18%と、買いの方が優勢であった。

 買いと答える傾向は若年層で高く、20~30代及び40~50代では売りよりも買いが優勢になった。しかし60代以上では買いよりも売りを考えている個人投資家が多いようだ。

 一般に、若年層よりシニア層の方が資金力がある。全体では買いと答える層が多かったものの、資金力から考えれば売り圧力も相当ありそうだ。(記事:ファイナンシャルプランナー・若山卓也・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事