アドバンテスト、20年3月期は売上2.3%減 純利益6.1%減 今期予想は未定に

2020年4月25日 20:43

印刷

■売上高は前期比2.3%減、純利益は6.1%減

 アドバンテスト(6857)は24日大引け後、20年3月期通期(IFRS基準)の連結決算を発表した。売上高は前期比2.3%減の2,759億円、営業利益は同9.2%減の587億円、税引前利益は同11.5%減の586億円、純利益は同6.1%減の535億円だった。

【こちらも】ZOZO、20年3月期予想を下方修正 増税や暖冬による売上未達が要因

 併せて期末配当予想の修正を発表しており、当初期末配当であった34円から7円増額の41円とし、通期で82円の配当となった(前期通期配当は92円)。四半期ベースでは、1Qから3Qにかけ米中貿易摩擦による影響を受けたことが減収減益要因だが、4Q単体(20年1月~3月)で見れば前年同期を上回る決算となった。

 しかし、新型コロナウイルスによる悪影響が顧客の事業運営に悪影響を与えることが見込まれるため、21年3月期の業績予想は未定とした。21年3月期第1四半期(20年4月~6月)は、売上高が700億円(前年同期比5.8%増)、営業利益は130億円(同14.2%減)と予想した。

■減収減益も受注高は過去最高を更新

 半導体試験装置で世界シェア1位のアドバンテスト。コンピューターや自動車など、様々な電子機器に使われる半導体の品質・性能をチェックする「テスター」を製造しており、市場シェアは55%を占める世界を代表する半導体製造装置メーカーの1社だ。

 20年3月期は米中貿易摩擦の影響により、米中を中心に半導体製造への需要が減退し伸び悩んだことから、受注高は上半期までは前年を下回っていた。しかし下半期からは、ハイエンド向けテスターへの需要とメモリテスターへの需要の回復から受注高が伸び、通期では前期を上回る受注高で着地した。19年3月期に続き、2期連続で過去最高受注高となった。

■5Gやデータセンター向けは良好もコロナ禍での影響を注視

 中期経営計画の最終年となる21年3月期は厳しい外部環境に晒される模様だ。しかし、当初計画していたベースシナリオである売上高2,500億円、営業利益率17%、ROE18%、EPS170円はいずれもクリアしている(それぞれ2,759億円、21.3%、24.9%、270円)。コロナ禍で主要顧客においてどのような影響が出るか予想できない中、計画通り成長に向けた投資を引き続き推進していく方針だ。

 2020年は日本において5Gサービスがスタートするなど、世界的に5G元年であると言われており、ハイエンドな半導体への需要が高まっている。アドバンテストは5G向け半導体に対応したテスターを提供しており、大きな需要が見込める。またデータセンター向けのテスター需要も底堅く、引き続き業績を牽引する予想だ。

 しかしながら、世界的に未曾有の感染症となっている新型コロナウイルスの終息が見えない中、事業環境が大きく変化する恐れもあるため、業績については市場動向も踏まえチェックしておく必要があるだろう。(記事:拓蔵・記事一覧を見る

関連記事