アイリスオーヤマがマスク増産体制へ 山本化学工業も販売に参入

2020年4月1日 07:28

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ウエットスーツ素材からつくられたマスクカバー(画像:山本化学工業の発表資料より)

ウエットスーツ素材からつくられたマスクカバー(画像:山本化学工業の発表資料より)[写真拡大]

 新型コロナウイルスの感染拡大でマスク不足が続く中、中国でマスク製造を行っているアイリスオーヤマ(仙台市青葉区)は3月31日、国内の工場に生産設備を導入し、国内向けマスクの増産を図ると発表した。

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 マスクの供給体制については、国も各企業に協力を要請しており、シャープ(堺市堺区)は24日から新たに生産を開始。また、山本化学工業(大阪市生野区)はウエットスーツ素材などを使ったマスクカバーの販売を始め、注目を集めている。

 アイリスオーヤマはこれまで、中国の大連工場(遼寧省)と蘇州工場(江蘇省)でマスクを製造。現在24時間体制で操業し、月間8000万枚のマスクを国内に供給している。しかし依然として、マスクの入手が困難な状況が続いているため、国内に設備を導入し、増産を図ることにしたという。また、これまで中国のみに依存していた生産体制を分散し、安定供給できる体制を構築することも狙いだという。

 新しい設備は宮城県角田市の角田工場に約10億円かけて導入する。製造するのは一般向けと学童向けの不織布マスクで月間6000万枚の製造が可能。稼働時期は6月を予定している。

 また、山本化学工業が販売を始めたのは、スエットスーツの素材を使ったマスクカバー「BIOLA(ビオラ)」。使用の際は口や鼻との間にガーゼやテッシュなどを挟む。素材に伸縮性があり顔に密着するため、ウイルスなどの侵入を抑えることができるという。カバーは手洗いすることができるので、ガーゼなどを取り替えれば約1年繰り返し使用できる。

 販売はインターネットを通じて行い、4月1日から同社サイトに注文ページを設ける。5月15日まで緊急事態対応月間として1枚1000円(税込み)からの特別価格で販売する。

 3月24日から三重県多気町の工場でマスク製造を始めたシャープは、月末から出荷を開始した。当面は1日約15万枚の生産で、今後1日50万枚への増産を目指すという。出荷されたマスクは政府への納入を優先し、その後販売サイトから一般に販売する予定だという。

 中国への依存度が高く生産体制の弱さを露呈したマスクだが、国内企業の参入や生産体制の強化によって、品不足の状態はしだいに解消することが期待できそうだ。

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