シノケンGが歩み始めたJ-REIT組成への道程

2020年3月26日 07:33

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2019年度にグッドデザイン賞を受賞したシノケンGの投資用マンション「ハーモニーレジデンス新宿御苑 THE WEST・THE EAST」(画像: シノケングループの発表資料より)

2019年度にグッドデザイン賞を受賞したシノケンGの投資用マンション「ハーモニーレジデンス新宿御苑 THE WEST・THE EAST」(画像: シノケングループの発表資料より)[写真拡大]

 シノケングループ(以下、シノケン)が曲がり角を迎えている!?

 周知の通りシノケンは、投資用アパート・マンションの建設・販売で急成長してきた企業。そんなシノケンが前12月期「19.2%の減収、27.4%の営業減益」という厳しい計画で立ち上がり、期中に上方修正をしたものの「14.0%の減収、17.6%の営業減益」と「曲がり角」を指摘される着地となった。

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 背景はシノケン自体が説明しているように「総売上高の60%近くを占める投資用アパート・マンション事業の27%余の減収。公務員層への提案等に注力するなどしたが、金融機関の個人向け融資審査の厳正化が影響した」ことにある。「超低金利下/安易な融資拡充/不良債権化」を勘案すると、環境が急好転するとは考えづらい。

 だがシノケンは今期を「6.5%の増収(1020億円)、7.6%の営業増益(105億円)、2円増配40円配」と、回復基調の計画で立ち上った。回復基調をアナリストは「隣庭にあった親和性の高い新規事業の立ち上げ、進行」と説明した。ファンド/REIT事業である。

 既に2018年に私募ファンドを組成している。投資対象はシノケンが開発する都内23区のアパート。従来の個人投資家向け1棟販売(1棟6~8戸・1億円前後)と棲み分けを図り、1棟10~15戸・1億円以上に投資している(現利回り8%余とされる)。

 まず資産規模70億円程度の私募ファンドで始め今夏には100億円規模のREITを組成。300億円程度まで拡大した段階で上場(J-REIT化)を視野に入れている。アナリストは「アパート特化したREITとなると本邦初。低金利時代の運用難で機関投資家の期待は高い」とした。

 ところで私は17年10月6日の財経新聞・経済欄に『介護職者に週休3日制導入 シノケンウェルネスで』と題する原稿を投稿した。シノケンウェルネスはシノケングループの1社である。12年に介護業界に進出。前期末時点で「サ高住:3施設」「グループホーム:7施設」を展開している。前期の収益状況は「総売上高比1.6%、営業利益1.7%」と柱としては未だ細い。

 だが前記した原稿は「篠原英明社長の介護事業への思い入れは本物」という視点から書いた。収益性は順調。「篠原社長の頭の中にはアパートREITの軌道化の先に、プラス介護施設を組み合わせたREITの組成があるのではないか」という私の考えに、先のアナリストも「ない、とは言い切れない。REITで調達した資金は介護施設の充実・拡充にも活かせるわけだから」とした。

 シノケンの本校作成中の時価は700円台半ば。昨年12月9日に1372円まで買われた後の調整にコロナウイルス禍も重なり値下がり。果たして株価は、基軸事業の曲がり角論と新規事業の今後のどちらに目を向けているのだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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