受験生なら机の上にスマホを置くな

2020年3月22日 07:55

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■スマホを置いているだけで集中力減

 予想されていたことだが、スマホでSNSを利用することで記憶が消えていくという報告がなされている。学習障害の背景にスマホあり、とはずいぶん言われてきたことだが、記憶まで消失するらしい。使用していないから大丈夫、ではない。置いておくだけで集中力を阻害する。

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■合格する受験生が放つ「オーラ」

 長年、大学受験生を見てきて思うが、難関大学を突破していく生徒には、ある共通点がある。その生徒が勉強している姿にはある種の「オーラ」がある。「ゾーン」と言えばわかりやすいかもしれない。一流のアスリートたちが経験する「超集中状態」である。難関大をくぐりぬける生徒は簡単にゾーンに入ることができる。

 反対に、やってもやっても成績が伸びません、という受験生に共通しているのは、学習に集中できていないということだ。勉強をやっている、正確に言うと、やったつもりになっている、「つもり学習」をしている。

 社会などのような暗記科目は、右肩上がりの直線で成績が上がっていく。ところが、英語や国語などの読解系科目は、やってもやっても成績が上がらない期間がしばらく続く。

 読解問題を平面のシートとすると、そのシート上にはたくさんのブラックボックスが点在する。上位の受験生にとっては、ほぼ真っ白なシートがある。わからない受験生の目の前にはほぼ真っ黒なシートがある。単語やった、文法やった、それでもシートはまだ黒い。

 それでもへこたれずに勉強していると、シート上のブラックボックスが数個になる。まだ残っているが、残りのブラックボックスは前後の文脈から、以前やった演習から推測して埋められる。その時、読解問題全体の文脈が一気に見える、設問もどんどん解ける、要約系の配点が高い問題もとれる。そこで成績は爆発的に伸びていく。

 だから、国語、英語などの読解系の科目はやってもやっても伸びない期間が長く続き、ある時、一気に成績が伸びだす。しり上がりの曲線をえがいて成績が伸びていく。それなのに、前述の社会のように、右肩上がりの直線をイメージして勉強するから途中でへこたれてしまう。

■偏差値の勝負ではない、志の勝負

 マズローの欲求5段階説というのがある。

 食欲は食べると満たされる。低いレベルの欲求は、長続きしない。だから、「いい大学出て、人よりいい生活がしたい」程度の欲求では、やっても伸びない期間を下支えしてくれない。「自分を救ってくれたあの医師ようになって、自分も人を助けたい」、社会的なレベルの骨太な志がないと、成績が伸びるまでの退屈な期間にとても耐えられない。

 机の上にスマホを置いて、着信があるたびに応答しているようでは、何をかいわんや、である。それまでせっかく読んできた内容が、すでにどこかに飛んでいる。(記事:大学受験国語のフットプリンツ 谷村長敬・記事一覧を見る

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